信州大学工学部(長野県長野市)建築学科助教の中谷岳史さんは、自宅(長野市)が台風豪雨により床上浸水被害に遭い、自ら応急措置や復旧に取り組んだ経験を持つ。以来、自身の経験とノウハウを生かして、全国各地で同じように浸水被害を受けた友人・知人らの支援を行いながら、人的リソースが限られたパニックに近い状況のなかでも、被災者の安全確保と避難生活の負荷の軽減、建物・生活再建に有効な「万能ではないが極めて現実的」な応急対応メソッドを構築。
7月に秋田県を襲った豪雨災害でも、被災した同県内の友人の支援にあたりながら、Facebook上で“ナカヤ式”の応急対応策を公開、一種のマニュアルとなり、多くの被災者や被害を受けたOB宅の支援に追われる工務店の助けになった。
加速する気候変動により、いつ・どこで浸水被害が発生するか過去の経験則が通用しないいま、あらゆるエリアの人が浸水被害を想定する必要がある。中谷さんは「建築のプロである地元の工務店さんや大工さんから、費用を抑えながら速やかに建物と生活を再建していくために有効な真に被災者に寄り添う応急対応の情報とノウハウを広げていってほしい」と訴える。
床を解体せず ダクトファンで床下乾燥
大規模な被災地で床上浸水の被害を受けた住宅で、「ボランティアさんなどが、やみくもに床を撤去して、床下を清掃するというケースが非常に多く見受けられる」と中谷さんは指摘する。ナカヤ式の最大のポイントは・・・
この記事は新建ハウジング9月10日号16面(2023年9月10日発行)に掲載しています。
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