7月14~16日に秋田県を襲った豪雨では、下水や河川の増水によって雨水が排出されず「内水氾濫」が多数発生した。河川の氾濫とは質が異なる内水氾濫で住宅はどんな被害を受け、どんな対策が必要なのか。被害の大きかった地域で多数の住宅を手がけている西方設計(能代市)の西方里見さん、池田建築店(同)社長の池田佐保さんに、被害の実情を聞いた。
この記事は西方設計の被害実情を伺った記事です。池田建築店の記事は紙面に掲載しています。
私の自宅と事務所は被災を免れたが、過去に設計した住宅が、秋田市内の4棟、能代市内の2棟が浸水被害を受けた。秋田市内の1棟は床上(外壁の土台上100㎜)まで浸水していたが、他は床下浸水(基礎底板上30~100㎜程度)で済んでいる。
今回の水害は、降った雨水に加え生活排水が排出されずに水位が上昇する「内水氾濫」なので、河川の氾濫による水害とは全く事情が異なる。新たな都市型災害といえるかもしれない。内水氾濫では下水の汚泥が混ざるので、悪臭や菌の繁殖の恐れがあり、汚泥を除去して洗浄、消毒する必要がある。
床下浸水の5棟では、まず基礎内に溜まった汚水をポンプで排水してから、水道水で洗浄して汚泥を取り除き消毒した。しかし床上浸水の場合は壁内に汚水が浸入してしまうので、解体して洗浄する。断熱材も汚水を吸っているし、カビが生えるのも怖いので交換することにした。当該住宅ではグラスウールだったが、ウレタンやフェノールフォームも意外と水を吸っているようだ。
エコハウス設計手法は 浸水復旧の利点にも
普段の設計手法の中には・・・
この記事は新建ハウジング9月10日号4面(2023年9月10日発行)に掲載しています。
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