経済産業省は2023年9月28日まで「充電インフラ整備促進に向けた指針(案)」のパブリックコメントを募集している。同省が目標として掲げてきた「2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置」の実現に向け、整備目標などをまとめたもの。新車販売の市場規模や今後のEV普及などを踏まえて、目標値をこれまでの倍の「公共用の急速充電器3万口(基)を含む充電インフラ30万口」に引き上げることを決めた。同案についてはパブリックコメントを経て、10月上旬を目途に指針として策定する。
指針では、①ユーザーの利便性向上、②充電事業の自立化・高度化、③社会全体の負担の低減―の3原則を総合的に勘案し、整備目標を策定。ただし日本の現状としては、乗用車の1日の平均走行距離は50km以下が約9割を占めており、自宅で充電できれば十分なケースが大半となっている。また戸建て持ち家率は半数程度であることから、残り半数の集合住宅での環境を整える必要がある。
集合住宅などへ10~20万口設置
そこで、自宅などでの普通充電と、経路での急速充電を組み合わせた「重層的な充電インフラ整備」を推進。充電器が整備された集合住宅を増やすため、より低コストでの設置が可能な新築の集合住宅での整備を促す。併せて既築の集合住宅への設置も進める。2030年時点の集合住宅や月極駐車場への設置目安については10~20万口、集合住宅内で充電が可能なユーザーの割合を10%以上とする。
急速充電器は、高速道路、道の駅、公道、SS、コンビニ、ディーラーなどへの設置を検討。高速道路は2030年までに2000~2500口、道の駅は1000~1500口、SSは1万口、コンビニは5000~1万口、ディーラーは7000~1万口をそれぞれ目標とする。その他の、商業施設では滞在時間を考慮して急速充電に必要な出力を整備する。併せて車椅子利用者も含め、誰でも利用しやすくするためにユニバーサルデザイン・バリアフリー対応を進める。
補助金制度については、23年度予備分では30億円を確保する。効率的に充電器の整備を進めるため、補助対象の範囲や優先度、設置費用や申請額、執行手続きの簡素化・効率化などに留意して配分を決める。
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