信用調査会社・帝国データバンクの発表によると、ピース(石川県金沢市)が8月29日に金沢地裁より破産手続き開始決定を受けていたことが分かった。負債は債権者52人に対して約2億3000万円。
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同社は金沢市周辺エリアを主な営業・施工エリアとし、当初は木造注文住宅の新築・リフォームを主体に事業を行っていた。
値頃な価格設定と顧客の要望を重視する営業スタイルで、内見会や紹介などを通じて受注棟数を積み上げるほか、一般住宅以外にも長屋住宅や共同住宅など賃貸物件の建築受注を取り込む営業活動にも注力。
賃貸物件をはじめ複数の大口受注が寄与した2016年4月期の年売上高は、ピークとなる約4億2000万円を計上していた。
しかし、施工は外注に依存し、値頃な価格設定を続けるなか、設立当初より赤字決算を散発し、財務面は当初より債務超過状態に陥る厳しい経営となっていた。
また、社外への資金流出などもあり余裕のない資金繰りが続くなか、2020年以降はコロナ禍の影響で商談が停滞し、2021年4月期の年売上高は約1億2700万円にまで落ち込むとともに、約5900万円の大幅な赤字を計上していた。
新型コロナウイルス関連融資を導入して資金を繋ぐ一方、長屋住宅や共同住宅など金額の大きい物件の営業強化で業況の回復に努めていたが、木材をはじめとする住宅資材価格の上昇に加え、業界の受注競争も厳しく、抜本的な業況の改善にまでは至らなかった。
近時は借入金の元金返済猶予の金融支援を受けながら事業を継続していたものの、今年春頃には社員が退社し代表のみ事業運営となるなど、先行き見通しが立たなくなり事業継続を断念、今回の措置となった。
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