消防庁が9月1日に公表した「防災拠点となる公共施設の耐震化推進状況調査」結果によると、耐震性が確保されている防災拠点施設(公共施設)の割合は、昨年度から0.6ポイント上昇して96.2%に。災害対策本部が設置される庁舎の耐震率は市町村で1.4 ポイント上昇し89.7%となった。
その一方で、災害対策本部が置かれる庁舎・代替庁舎ともに耐震工事が進んでいない地方公共団体があることが明らかに。消防庁では該当する団体に対し、地域の業務継続性確保の観点から、速やかに耐震化に取り組むこと、耐震化に係る費用には緊急防災・減災事業債の充当が可能であることなどを伝えている。
同調査は防災基本計画に基づき、都道府県・市町村が所有・管理する防災拠点施設、災害対策本部が設置される庁舎・代替庁舎の耐震状況について調べたもの。防災拠点施設は、災害応急対策の実施拠点となる庁舎や消防署所、避難場所・避難所となる学校施設や公民館、災害時の医療救護施設となる病院や診療所、災害時に配慮が必要となる人のための社会福祉施設などが該当する。
警察署・公民館などで耐震化遅れる
防災拠点施設については、全体の96.2%に当たる17万4665棟で耐震性を確認。「耐震性がない」または「未確認」の施設は、残り6908棟となった。耐震性のある防災拠点施設のうち、「文教施設(校舎・体育館)」は99.6%で耐震化が進んでいるが、「警察本部・警察署」は86.8%、「県民会館・公民館」は89.1%と、やや耐震化が遅れている。
災害対策本部が設置される庁舎または代替庁舎については、47都道府県が管轄するすべての建物で耐震性を確認。市町村では89.7%に当たる1562団体の庁舎、174団体の代替庁舎に耐震性が備わった。その一方で、青森県大鰐町、福島県川内村、鹿児島県三島村など、庁舎・代替庁舎ともに耐震性が認められなかった団体が5団体あった。
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