2023年8月12日から8月14日に開催された徳島市の阿波おどりで、「プレミアム桟敷席」が建築基準法に違反していた問題で、阿波おどり未来へつなぐ実行委員会は9月4日に開いた「第6回実行委員会」の中で、状況を説明し謝罪。同法に関する認識を持ち合わせていなかったことが原因だったと説明した。
実行委員会の報告によると、1席20万円の「プレミアム桟敷席」の企画・運営は、アソビュー(東京都品川区)が実行委員会の許可を得て、観光庁の補助金事業として実施。桟敷席の建築については、アソビューが建築事業者に委託し、さらに下請け事業者に委託されている。徳島市建築指導課への建築確認申請は、7月28日に実行委員会が他のやぐらの分と合わせて提出。8月11日の昼頃に建築指導課が現場を確認したところ、事前に提出された設計図面とは異なる仕様で、建築基準にも満たなかったため検査済証の交付を見送ったという。
建築指導課からの指摘内容は、①手すりの高さが100㎜不足(1100㎜以上必要)、②背面入口幅が100㎜不足(1000㎜以上必要)、③外階段の幅が100㎜不足(900㎜以上必要)、④外階段の蹴上の高さが40㎜オーバー(180㎜以下)―など。建築指導課からの指導を受けて実行委員会は、手すりの高さを1100㎜以上に、背面入口幅を1000㎜に修正。階段の幅と蹴上の高さは修正できなかったため、視認性を高めるために外階段に照明とフットライトを設置し、階段に誘導スタッフを配置することで対応した。その後、再確認や検査済証の交付が行われないまま桟敷席を使用している。
事業者は違反認知の可能性
実行委員会は「検査済証を交付されていない建築物を事業に使用することが建築基準法の違反状態であるということ、再度建築指導課から検査を受け検査証を取得することが事業の実施要件であるということが認識できていなかった」と説明。また、建築事業者の選定については、アソビューからの報告として「建築事業者が実績を多数保有していることを評価して発注した。発注先事業者の選定基準を設け、複数事業者の中から選定しなかった」と述べている。
再発防止策としては、▽前例のない建築物を施工する際は検査日に十分な期間を設けて、 不測の事態に対応できる状態にする▽前例のない取り組みを実施する際は経験値の高い専門家を配置する▽委託先の選定やプロジェクト進行中に発生するリスクに対処できる体制を要請する―などを示した。
これらの説明に対し、参加した委員からは「建築事業者は違法だと分かっていたはず」「建築指導課も再度確認すべきだった」「どの段階で違法が生じたのか明らかにすべきだ。業者は部材を発注する段階で設計とは異なっていることが分かっていたはず」「運営マニュアルの作成を検討すべき」などの意見が出た。
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