連載の第2回目では「夢の一気通貫システム」がなぜ成立し得ないのかについて話をしてみたいとおもいます。その理由は「プロセス」と「人」にあります。BIMとは「情報マネジメントのプロセスであり資産」だという定義を再度思い出してください。
《連載第1回》BIMは「情報マネジメントのプロセスであり資産だ」
営業して受注を取ってから設計し、構造計算し、省エネ計算し、確認申請に出し、施工図を書き、工事を行い維持管理していく一連のプロセスには、いずれも「人」がたくさん関わります。
BIMとは夢の一気通貫ソフトのことで、それに入力していく作業はオペレーターさんが一人いれば出来ると思っている人がいかに多いことか・・・。
現実はそう甘くありません。意匠/構造/設備/積算/施工と各専門の担当者が連携・協力して作業を行い、各専門分野を埋めていく必要があります。これは建築設計/施工の現場にいれば考えなくてもわかるごく当たり前の事実です。
その夢のソフトの運用は、建築に関わる担当者すべての人が使いこなすことができて、一つのデータを利用して情報連動できるソフトウェア・ハードウェア・高速通信環境をバッチリ揃えて…といった条件が必要となります。
単純に言っても、ソフトウェア使用料・各担当者のスキルアップ・共通で利用できるデータ環境整備・そのメンテナンスと、準備・運用の費用だけでも億円単位の負荷がかかるでしょう。規模の小さな企業では無理な相談です。さらには、それらを「事前にすべて準備しておく」必要があるのです。高価な失敗コストを支払うリスクも相当高いと断言できます。
複雑な「プロセス」、多数の「人」が関わる家づくり、建築づくりにおいては、それを突破する単一のすごいBIMソフトがあればいいというだけの話ではないのです。
こう言ってしまうと、「ほら!やっぱりBIMとかいらんやんけ!」という話になりそうですが、それもまた間違いです。
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