信用調査会社・帝国データバンクの発表によると、石橋ワークス(大阪市)は8月30日までに本店事務所を閉鎖し、実質的な事業を停止したことがわかった。負債は2022年10月期末時点で約5億9900万円だが、変動している可能性がある。
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同社が8月30日に取引先に向けた説明会において、代表のグエン・コツ・ホアン氏は「実質的な事業は停止している」旨の発言をしていたという。
同社はマンションを主体に戸建て住宅や幼稚園、保育園、老人ホームなどの新築工事のほか、リフォーム工事を手がけていた。大阪府や兵庫県を中心とする関西圏を営業エリアとして、大手ハウスメーカーやデベロッパーからの受注を獲得し、施工は協力会社を利用。大型案件を積極的に受注し、業容を拡大していた。
2021年6月には、当社が施工していた大阪市西成区のサービス付き高齢者向け住宅の建設工事現場において、隣接していた住宅地の崩落事故が発生。調査の結果、工事が直接の原因ではないとされたものの、一部の業者からその発生プロセスについては注目を集めていたという。
その後も営業開拓に注力しながら受注を伸ばし、2022年10月期には年売上高約25億3900万円を計上。一方で、資材価格の高騰や人員増加に伴う人件費も負担となり収益性は低迷していた。急激な業容拡大に対して人材育成などの体制構築が遅れていたことで、企業ガバナンスの不備を指摘する声も聞かれたという。
2023年以降は複数の支払い遅延が発生するなど、資金面での信用不安も表面化。外注業者の確保に苦戦するなか、取引先に支払い延期などの支援要請をするなどして資金面維持に努めていたが、支え切れなくなり今回の事態となった。
今後の方針については「弁護士と協議中」としている。
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