東京証券取引所(東証)は8月29日、プライム市場に上場する三栄建築設計(東京都新宿区)に対し、「反社会的勢力と交流がない」との虚偽の宣誓書を提出していたとして、同社に上場契約違約金1000万円を請求した。「宣誓書において宣誓した事項に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損(きそん)したと認められるため」としている。同社は創業者で元社長の小池信三氏が暴力団組員に利益を供与していた問題で、6月に東京都公安委員会から東京都暴力団排除条例の勧告を受けていた。
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東証は、8月15日に開示した第三者委員会の調査報告書などから、▽元社長が少なくとも2000年4月から2021年3月までの間に、意図して暴力団関係者と継続的に交流していたこと▽2011年8月の新規上場時、および2012年8月の市場第一部銘柄への指定時の審査申請書類として、反社会的勢力との関係がないことを示す確認書を提出していたこと▽提出書類の内容がすべて真実である旨の宣誓書を提出していたこと―などの事実があったと説明した。
これに対して三栄建築設計の千葉理絵・現社長は、「契約違約金の徴求を受けたことを真摯に受け止め、再発防止や信頼回復に努めたい」とコメント。さらに2023年6月20日付で元社長の影響力を排除するために組織を変更し、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでいること、8月16日付に公表したオープンハウスグループによる公開買付けにより、元社長との資本関係は解消されることなどを説明している。
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