政府が29日公表した2023年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、急速に進む少子化の要因について分析した。経済財政白書が「少子化」を一つの柱に据えたのは初めてで、男性の所得や非正規雇用者の割合と未婚率の相関性から、「構造的な賃上げ環境を実現することは少子化対策としても最も重要」と訴えた。
日本の22年の出生数は77万人と統計開始以来初めて80万人を割り込み、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は過去最低(05年)と並ぶ1.26だった。白書によると、15~20年は女性人口、結婚している人を表す有配偶率、夫婦の出産数を表す有配偶出生率の3要素がいずれも減少し、出生数を下押しした。
このうち有配偶率については、30代の働いている男性で年収が低いほど未婚率が高くなる傾向があった。また地域別に分析すると、非正規雇用者の割合が高い地域ほど有配偶率が低く、白書では若年層の所得向上が重要だと明記した。このほか、家賃や教育費の負担軽減策や、女性に偏った育児負担の是正などを求めた。
日本は近年、人口が減少する中で女性や高齢者の労働参加を進めてきたが、労働者数と労働時間をかけた労働投入量の減少はカバーできていないと指摘。少子化に歯止めをかけなければ「地域社会や社会保障制度の維持も難しくなる」と危機感を示した。(2023/08/29-18:44 記事提供元:時事通信社)
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