矢野経済研究所(東京都中野区)は8月23日、国内の住宅設備機器市場の調査結果を発表した。2022年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器+水まわり関連設備機器+創エネ関連設備機器)の市場規模は、前年度比7.7%増の1兆9430億円と推計した。
2022年度は、東南アジアなど設備機器の部品生産国で供給網(サプライチェーン)の正常化により部品不足が解消。設備機器メーカーが減産分を挽回生産したことに加え、原材料費の高騰分を製品価格へ転嫁したことで、どの市場も前年度から伸長した。また、コロナ禍で在宅時間が長期化し、住環境を見直す機運が高まったことで、比較的高価格帯の住宅リフォーム需要が堅調に推移したことなども影響した。
今後の住宅設備機器市場では、「時短」「カーボンニュートラル」がキーワードになると考えられる。共働き世帯の増加を背景に、住宅設備機器メーカーでは家事労働負荷を軽減し時短に寄与する製品を積極的に投入。2人以上世帯における食器洗い乾燥機の普及率は、2023年3月時点で37.1%と2005年3月から15.5ポイント上昇しており、長期的に市場拡大すると見込まれる。また、カーボンニュートラルは、政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」(2010年)以降、実現に向けた機運が急速に拡大。2030年度以降の新築のZEH水準義務化で、自家発電・自家消費が可能な太陽光発電システムや蓄電池システムの市場が伸長している。給湯器についても、ヒートポンプ給湯器や潜熱回収型給湯器など高効率給湯器への代替が加速すると予想される。
2023年度の市場規模は、前年度比0.6%減の1兆9312億円と予測する。水まわり設備機器市場は、新設住宅着工戸数の減少に加え、コロナ禍の巣ごもり消費からレジャーなど外向きの消費へシフトすることで、堅調だったリフォーム需要が落ち着くと想定し、前年度比2.3%減の1兆50億円と予測する。水まわり関連設備機器市場は、供給網の正常化による部品不足解消で、いったん需要が落ち着くものの、値上げ効果が継続し同0.7%増の5546億円と予測。創エネ関連設備機器市場は、家庭用蓄電システムの好調な需要が牽引し、同2.3%増の3716億円と予測する。昨今の電気代高騰で自家消費目的が増加していることも、市場成長を後押しするとしている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。