東京商工リサーチ(東京都千代田区)はこのほど、2023年度の「賃上げに関するアンケート」を実施し、その結果を発表した。有効回答は5460社。調査期間は8月1日~9日。
今年度の賃上げの有無を尋ねたところ、「実施した」は84.8%(4634社)で、前年度の82.5%を2.3ポイント上回った。定期的な集計を開始した2016年度以降の最高を更新した。賃上げの実施率を会社の規模別に見ると、大企業が89.9%(628社中、565社)であるのに対し、中小企業は84.2%(4832社中、4069社)と、規模による差は5.7ポイントとなった。だが、前年の6.6ポイント差から縮小し、中小企業でも賃上げが進んだことがわかった。
産業別で見ると、賃上げを実施した割合が最も高かったのは、「製造業」の88.4%(前年度87.2%)だった。次いで、「建設業」の88.0%(同83.7%)となった。
《関連記事》
大手建設会社の春季賃上げ要求 平均3.36%アップで妥結
賃上げ税優遇に「中堅企業」枠 要件緩和―政府検討
賃上げを「実施した」と回答した企業を対象に、実施した内容を聞いたところ、最多は「定期昇給」(75.3%)となった。以下、「ベースアップ」(56.4%)、「賞与(一時金)の増額」(43.3%)、「新卒者の初任給の増額」(23.5%)と続いた。 「定期昇給」は前年度を5.7ポイント下回ったが、「ベースアップ」は14.4ポイントと大幅に上回った。規模別では、「新卒者の初任給の増額」は大企業38.7%に対し、中小企業は21.4%で、17.3ポイントの差がついた。
賃上げ率は、「3%以上4%未満」(27.7%)が最多。次いで、「5%以上6%未満」(20.2%)、「2%以上3%未満」(16.1%)となった。連合の2023年春闘では、定昇相当分を含む5%程度の賃上げ方針が示されたが、賃上げ実施企業のうち、「5%以上」の賃上げ率を達成したのは36.3%だった。賃上げ率「5%以上」を規模別に見ると、大企業が28.7%(271社中、78社)に対し、中小企業は37.0%(2671社中、990社)と、中小企業が8.3ポイント上回った。
《おすすめ記事》
最低賃金、24県「目安」超え=全国平均1004円
上場企業22年度平均給与は638万円 過去20年で最高に
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。