帝国データバンク(東京都新宿区)はこのほど、「女性登用に対する企業の意識調査(2023年)」の調査結果を発表した。同調査は2013年以降毎年7月に実施しており、今回で11回目。それによると、女性管理職(課長相当職以上)の割合は、平均9.8%(前年比0.4ポイント増)と、1割を下回る低水準ながらも過去最高を更新した。政府が目標として掲げている「女性管理職30%」を上回っている企業もわずかに上昇し9.8%となった。「20%以上30%未満」は6.4%、「10%以上20%未満」は8.6%、「10%未満」は25.9%だった。管理職が全員男性の企業は45.1%で、依然として全項目で最も高い。
女性管理職の割合を規模別にみると、「小規模企業」が平均12.6%と最も高く、「中小企業」10.2%、「大企業」7.5%と規模が小さい企業ほど女性管理職割合が高い状況が続いている。従業員数別でみても、従業員数「5人以下」の企業が平均15.7%で最も高かった。
2022年4月から「女性活躍に関する情報」公表の新たな対象となった従業員数「101~300人」の企業では、前年比0.5ポイント増の6.5%と、全区分最大の増加幅となった。同年7月から「男女間の賃金格差」公表の対象となった従業員数「301人以上」では、同0.3ポイント増の7.8%だった。
業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が18.6%と最も高く、次いで「不動産」(16.2%)、「サービス」(13.5%)、「農・林・水産」(11.8%)と続いた。一方、現場での作業が多く女性従業員が比較的少ない「製造」(7.4%)、「運輸・倉庫」(6.9%)、「建設」(6.2%)では平均を下回り低水準にとどまった。
女性役員(社長含む)の割合は、前年比0.4ポイント増の平均13.1%で過去最高となった。一方、「役員が全員男性」の企業は53.0%と依然半数を超えている。
女性管理職割合が、今後「増加する」と答えた企業は32.9%で、3社に1社が女性管理職割合の増加を見込んでいることがわかった。「変わらない」は41.6%だった。
女性の活躍推進のために行っていることを聞いたところ、男女平等に関わる項目である「性別に関わらず成果で評価」(59.0%)、「性別に関わらず配置・配属」(48.2%)が上位に並んだ。政府が特に強化している「男性の育児・介護休業の推進」は、15.7%(前年比3.1ポイント増)と全項目の中で最大の上昇幅となった。
男性の育休取得率は平均11.4%で、「大企業」が14.1%、「中小企業」が10.6%、うち「小規模企業」が8.6%と企業規模が大きいほど取得率が高い傾向にある。従業員数別では、取得率公表が義務づけられている「1000人超」(20.8%)が最も高く、全体を9.4ポイント上回った。
調査期間は7月18日~31日。調査対象は全国2万7768社で、有効回答企業数は1万1265社(回答率40.6%)。
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