政府が従業員の賃上げに積極的な企業の税負担を軽減する「賃上げ促進税制」の適用区分を見直し、「中堅企業」枠の創設を検討することが18日、分かった。現行制度は「大企業」と「中小企業」が対象。大企業の一部を新たに「中堅企業」として区分し直し、税優遇の適用要件も緩和する。税優遇を企業規模に応じて3区分できめ細かく適用することで賃上げを促す。経済産業省が今月末に財務省へ提出する2024年度税制改正要望に盛り込む方針だ。
現行の賃上げ促進税制は、大企業を資本金1億円超、中小企業を1億円以下などと区分。給与の支給総額を一定割合以上増やした場合、大企業は給与総額の増加額の最大30%を法人税額から差し引くことができる。中小企業には増加額の最大40%の税額控除を認めている。
創設を検討する中堅企業は現行の大企業のうち、資本金10億円未満を想定。税額控除の適用を受けるために必要な給与総額の増加率を大企業より1%低くする。
賃上げ促進税制は、23年度末が期限。経産省は適用期間を30年まで延長し、継続的な賃上げの支援を目指す。子育て支援や女性の活躍に積極的な大企業と中堅企業には税額控除率を5%上乗せする案も検討する。
歴史的な物価高が国民生活を圧迫する中、岸田政権は「構造的な賃上げ」を経済政策の中心課題に据える。23年春闘では厚生労働省の集計で賃上げ率が30年ぶりの高水準となったが、物価に負けない賃上げの実現には24年春闘以降での継続的な賃上げが鍵となる。賃上げ促進税制の拡充・延長は、年末の税制改正作業で焦点になりそうだ。(2023/08/18-22:05 記事提供元:時事通信)
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