地震による火災をどう防ぐ―。東京都は木造住宅が密集する地域(木密地域)に住む約32万世帯を対象に、地震の揺れを感知して電気を遮断する「感震ブレーカー」を10月から希望者に無償配布する。関東大震災では調理に使うかまどやしちりんが主な出火原因だったが、現代は通電による火災が多い。都は震災100年を機に、木密地域の建て替えのほか、室内の電源対策にも力を入れる。
2011年の東日本大震災では、地震での停電から復旧した後、倒れた電気ストーブに再通電してじゅうたんなどに火が付いたり、損傷した配線がショートしたりする「通電火災」が建物出火の主な要因となった。
都が昨年公表した首都直下地震の新たな被害想定では、火災による建物被害は約11万2000棟、死者は約2500人。一方、感震ブレーカーの都内の設置率は22年度で6%と低く、都は30年度までに25%に引き上げる目標を立てた。都はこの目標を達成し、消火器などによる初期消火率の向上と併せれば、建物・人的被害をともに約7割減らせると見込んでいる。
都が配るのはコンセントに差し込むタイプ。担当者は「まだまだ知られていないので普及啓発を図りたい。いろいろなタイプが販売されており、家庭に合うブレーカーを探すきっかけにもしてほしい」と話す。
独自に事業を拡充する動きも。被害想定で都内最多の出火件数が見込まれる江戸川区は、都の配布対象外の地域に住む約30万世帯に順次感震ブレーカーを配る。区担当者は「木造住宅だけでなく全域で出火件数を減らしていきたい」と強調する。(記事提供元:時事通信社)
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