金融庁は、新型コロナウイルス対策の資金繰り支援で借入金が膨らんだ事業者への支援状況について、8~9月に地方銀行など全金融機関への集中ヒアリングを実施する。コロナ後の経済活動の回復を見据え、資金繰り支援を中心とした対策から事業者の実情に応じた経営改善支援へと軸足を移すよう促すのが狙いだ。
2020年に始まった実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を利用した結果、借入金が膨らんだ事業者への支援状況を聴取する。大手行や地銀、信用金庫、信用組合に対し、各財務局を動員し、債務減免を含む返済条件の変更の状況や事業再生に向けた地域連携の取り組みなどを調べる。
借入金を資本とみなすことができ、財務基盤の強化につながる「資本性劣後ローン」の活用状況も把握する方針だ。
ゼロゼロ融資は、今年7月から返済が本格化している。事業者にとっては収益力の向上が喫緊の課題となるが、急激な物価上昇なども重なり、経営環境は厳しい。東京商工リサーチによると、7月の企業倒産件数は758件と、前年同月から5割も増加。融資の返済が優先され、必要な成長投資に資金が回らなくなる恐れもある。
金融庁はヒアリングを通じて課題や優良事例を収集し、各金融機関が事業者の経営状況に見合った支援を行えるよう後押しする。今年度の重点施策をまとめた「金融行政方針」にもこうした考えを盛り込む見通しだ。(2023/08/14-15:46 記事提供元:時事通信社)
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