環境省は2024年度、省エネルギー対策が遅れている既存ビル向けに、高効率エアコンの導入や断熱改修などを促す補助事業を新設する方針を固めた。既存ビル全体の省エネ性能を底上げする狙いで、同年度予算概算要求に金額を示さない「事項要求」として盛り込む。
高性能な省エネタイプの空調や発光ダイオード(LED)を使った照明機器、断熱窓などの導入が対象となる見通し。ゼネコン大手各社は近年、工事中でもビル内の業務への影響を最小限に抑えられる改修工事を手掛けており、休業の必要はないという。
ビルの省エネでは、自家発電設備などを備えて電力などのエネルギー消費を実質ゼロにすることを目指す「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」が知られている。今回の事業は、厳しいZEBの基準を満たさなくても補助を認める方向だ。
補助率などの詳細は年末の予算編成過程で詰める。現在、既存ビルではZEBへの改修を進める民間事業者や自治体へ床面積に応じて5億円を上限に費用の3分の2を補助する制度があり、同省はこうした仕組みを参考にするとみられる。
同省は、省エネ改修が必要な既存ビルは22年時点で約110万棟に上ると推計。政府は既存ビルについて、50年までに標準的なエネルギー消費量から30~40%削減する目標を掲げている。しかし高額な改修費や工事と通常業務の両立が困難といった理由で、ZEB化を含む既存ビルの省エネ改修は年間数十件程度しか進んでいない。(記事提供元:時事通信社)
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