オープンハウス(東京都千代田区)は8月16日に取締役会を開き、東京都公安委員会から暴力団排除条例の勧告を受けた三栄建築設計(東京都新宿区)に対して、完全子会社を目的としたTOB(株式公開買付け)を実施することを決定した。
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現在、東証プライム市場に上場している同社株式の全てを取得するほか、創業者で元代表取締役社長の小池信三氏が所有する1354万2200株(所有割合63.83%)、同氏の配偶者が代表取締役社長を務めるレイチェル社が所有する8万800株(同0.38%)についても、「応募契約書」を締結して全株を取得することが決まった。
買付価格は1株につき2025円。買付予定数の下限は所有割合66.67%に当たる1414万4700株とし、上限は設定しない。買付期間は2023年8月17日から9月28日までの30営業日。
三栄建築設計は6月20日、小池元社長が同社の事業の便宜を図るため、指定暴力団住吉会系の暴力団組員に利益を供与したとして、東京都暴力団排除条例の勧告を受けた。勧告を受けて当時の社長らが辞任。新たに就任した千葉理恵社長が中心となり、経営の立て直しを図っていた。
小池元社長の影響を排除
買付けに当たっては取締役会で慎重な検討を行い、辞任した小池元社長と3人の元従業員以外には暴力団との関わりがなかったことなどを確認。今後、元社長が新会社に影響力を残さないこと、公開買付けによる対価を反社会的勢力に提供しない旨についても「応募契約書」内で合意している。また元社長らが株式を所有し続けていることで、三栄建築設計の事業運営に支障が生じていることから、健全な経営を取り戻すために一刻も早く株式を処分してもらうことが同社の重要な経営課題だったとしている。
オープンハウスは、三栄建築設計の強みとして、1棟ごとに明確なコンセプトを決めた「デザイン力」、設計・施工・販売・アフターサポートまでの「一貫体制」、包括原価方式による「適切な価格設定」があると説明。完全子会社化することで期待されるシナジー効果については、▽戸建事業全体の底上げ▽商品ラインナップの拡充▽各種購買力強化によるコスト競争力の向上▽子会社のメルディアDC、プレサンスによる関西地方を中心とした協働▽三栄建築設計の金融機関取引の円滑化・安定化―などを挙げている。
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