林野庁は8月23日まで、森林の整備や保全目標などについて定めた「全国森林計画(案)」のパブリックコメントを募集している。同計画は15年を1期として5年ごとに見直しを実施。現行計画が2023年10月に策定から5年を迎えることから、今回2024年4月1日から2039年3月31日までを計画期間とした新たな計画案を策定した。パブリックコメントを踏まえて9月中に最終審議を行い、10月にも閣議決定する。
今回の計画では、2021年6月以降に生じた情勢変化や新たな施策の導入を考慮した見直しを行った。具体的には、▽2023年5月に施行された「盛土規制法」(宅地造成及び特定盛土等規制法)に基づく安全対策の適切な実施、▽同4月に施行された「クリーンウッド法」(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)に基づく木材関連事業者の取り組み、▽同4月に閣議決定した「花粉症対策の全体像」を踏まえた花粉症の発生源への対策(スギ人工林の伐採・植替えの加速化)、▽航空レーザ計測などによる高度な森林情報の活用などのICTの活用―などの記述を追加した。
《参考記事》
施工者の“管理責任”を明示「盛土規制法」5月26日施行
政府が花粉症対策を閣議決定 住宅分野でスギ材利用を推進
太陽光発電施設に関する記述拡充
他に「森林の土地の保全に関する事項」で、太陽光発電施設の設置に関する記述や盛土に関する記述を拡充。太陽光発電設備の設置時は、小規模な林地開発においても土砂が流出する割合が高いことから、許可が必要な面積規模の引き下げや、改正後の開発許可基準の適正な運用を行うこととした。
同庁が実施した「2020年度流域山地災害対策調査」によると、1ha以下の小規模林地開発のうち約7割が太陽光発電施設の設置を目的とする開発だった。さらに土砂流出の発生割合の増加率が、他の開発時よりも高かったことから、太陽光発電設備の設置を目的とした土地の形質変更を行う場合は、0.5haを超えるものを許可の対象としている。
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