富士経済(東京都中央区)は8月14日、ZEH、レジリエンス住宅、スマートホームなど国内の注目住宅市場などを調査した結果を「2023年版 住宅マーケット別建築・機器・サービス市場調査」にまとめ、発表した。
それによると、年間の一次エネルギー消費の収支ゼロを目指すZEH(ZEH Orientedは含まない)は、断熱性能の向上や省エネ機器の導入スペースなどを考慮した設計・提案が必要なため、2022年度は新築が9割強を占めた。ZEHビルダー・プランナー登録事業者には2020年度実績を基準に2025年までのZEH目標が設定されたほか、政府の補助事業で2030年以降の新築戸建て住宅の60%に太陽光発電搭載を目指すなど、今後ハウスメーカーやビルダーの取り組みが進展し、2035年度は12.3万戸(2022年度比159.7%)に市場が拡大すると予測されている。
高まる災害リスクでニーズ高まる
レジリエンス住宅は、平常時にエネルギー使用量を抑制し、太陽光発電システムと蓄電システムやV2Hを併用することで非常時に自立してエネルギー供給ができる住宅が対象。南海トラフ地震など高まる災害リスクへの対策として、長期間停電に対応できる住宅へのニーズは今後も高まると予想される。
太陽光発電システムや蓄電システム、V2H導入の補助金が増えているほか、より万全な停電対策として3つを組み合わせたトライブリッド蓄電システムが採用されるなど、市場が拡大し2022年度は14.8万戸となった。2023年度以降は、東京都以外でも太陽光発電システム設置を義務化する自治体が多数出るとみられ、地方でも太陽光発電システム導入時に住宅用蓄電システムやV2Hを同時採用するケースが増えると予想。2035年度は37.2万戸(2022年度比2.5倍)が予測される。
スマートホームは、有料課金が可能なIoTプラットフォームを利用する住宅が対象。スマートリモコン、センサーなどと住設機器・家電を連携させ、スマートフォン・タブレットで利用可能なアプリプラットフォームや音声で家電操作などができる。
2021年度から2022年度は新型コロナの影響で新築市場が停滞し、スマートホームで差別化を図るデベロッパーが増えたことから、新築集合住宅を中心に市場が拡大した。今後は、新築集合住宅のほか、大手デベロッパー・ハウスメーカーの新築戸建て住宅や地域デベロッパーの展開強化で、ニーズが高まると予想。また、既築住宅での対応機器の追加導入も期待され、2035年度は18.4万戸(2022年度比184.0%)と予測する。
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