きよかわ(広島県広島市)のスタッフは、全員が大工として現場で働きながら、営業や設計も自ら担当している。ハウスメーカーに営業として勤務した経験を持っている人材ばかりだからこそ可能な体制だ。社長であり、父の清川伸二さんはリフォーム全般を担当し、長男の専務・清川創史さんは設計と施工管理、次男の常務・清川太視さんは営業と施工管理をそれぞれ兼ねながら対話を重ね、現場から寄り添う家づくりを実践している。
「息子が帰ってくるなら、構想していたことを実行できると思った」。創史さんが大学生の時、家業の手伝いで実家に帰ってきた際に、伸二さんは今後のビジョンを語った。ビジョンのひとつが「大工の育成に着手すること」。「私は大工も営業もしていて手いっぱいだったけど、創史も太視もハウスメーカー勤務で経験値を積んだ後に帰ってくることがわかったから、職人たちに指示してもらいながら、自分は新しいことにチャレンジできると思った」と伸二さんは当時を振り返る。
しかし、蓋を開けてみると2人とも「自社施工にこだわりたいから大工になる」と主張した。当初は戸惑ったが、今では笑いの種だ。そうして、ハウスメーカー勤務を経て大工となった社員が2人加わり、同社は異色ともいえる経歴をもつ兼任大工だらけの工務店となった。
あらゆる要望を叶えるために大工として寄り添う
創史さんが家業に入ると決めたのは大学3年生の頃。就職に悩んでいた折、実家に戻って父の仕事を手伝ったことがきっかけになった。「父と働いていたときに、将来のビジョンを話してくれた。でも、1人で実行するには限界があると聞いて、思うところがあった」という。そこで、実家に帰って同社に入ることを決めた。
しかし「今のまま帰っても貢献できない」とも感じた創史さん。伸二さんがハウスメーカー勤務を経て大工になったことは知っていたため「私も他社で修業してから帰ることに決めた」として、いったんはハウスメーカーに就職することを選んだ・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号4・5面(2023年8月20日発行)に掲載しています。
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