住宅資材販売、木造軸組プレカット、木材加工、木質バイオマスなど多角的な事業展開をしてきた征矢野建材(長野県松本市、櫻井秀弥社長)が8月9日、長野地方裁判所松本支部に民事再生手続き開始の申し立てを行い、保全処分及び監督命令を受けた。信用調査会社・帝国データバンクの発表によると、負債は65億6581万円。
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長野県中南信地区を中心に県内を商圏とし、地元ハウスメーカーなど建築工事業者を得意先として、2023年2月期には年売上高約49億5000万円を計上していた。
この間、同社が事業主体となり長野県、塩尻市、信州大学などと連携して進めてきた「信州F・POWERプロジェクト」の木質バイオマス発電所計画がスタートしていたが、発電施設の完成が2017年3月から2020年9月にずれ込んでいた。
そのため、同事業向けの売り上げを得られないまま、先行して完成した木材加工施設の減価償却費負担が増加し、連続して大幅赤字となり債務超過に陥るなど、収益構造や財務面が弱体化していた。
2021年2月期以降は、同施設が完成したことで発電用燃料ウッドチップの販売に伴う売り上げは増加したものの、チップの原材料となる間伐材などの調達が当初計画を下回り苦戦を強いられていた。過去の累損から債務超過の状態が続き資金繰りはひっ迫し、先行きの見通しが立たないことから今回の措置となった。
同日、東京証券取引所プライム市場に上場している綿半ホールディングス(本店:長野県飯田市、本社:東京都新宿区、野原勇社長)が支援申し出を行い、スポンサー契約を締結したと発表している。
征矢野建材の協力会社で桜井秀弥氏が元代表となっていた木材建材等の輸入・販売のプレイリーホームズ(愛知県名古屋市)は8月10日に声明を出し、征矢野建材とは一切の資本関係がないこと、これまで通り征矢野建材の国産材加工木材製品等の開発、販売協力を継続していくと述べている。
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