伊藤忠商事(東京都港区)は8月10日、建材事業などを展開する大建工業(富山県南砺市)に対して、完全子会社化を目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。同社は大建工業の株式(947万5300株)のうち36.3%を有する筆頭株主。今回のTOBにより大建工業の東証プライムへの上場を廃止し非公開化することで、相互の知見・ノウハウの共有を強化する考え。大建工業側も「同社グループとの間でシナジーの創出を見込むことができ、企業価値の向上に資する」との判断からTOBに合意した。
公開買付者は、同社が2023年2月に設立し、100%出資するBPインベストメント合同会社(東京都港区)。買付価格は1株につき3000円。買付予定数の下限は所有割合31.83%に当たる829万8295株とし、上限は設定しない。買付期間は8月14日から10月10日までの40営業日。同社以外の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行、住友生命保険相互会社、日本カストディ銀行、日本生命保険相互会社、三井住友銀行、農林中央金庫、ジューテックなど。
シナジー効果への期待大きく
大建工業はTOBに合意した理由として、▽同社グループの非住宅分野に対する知見の活用▽非住宅分野における既存製品や既存事業の売上拡大▽製品の拡充▽デベロッパーなど事業主に対するコンサルティング業務の拡大▽空間設計や内装工事など隣接事業への事業拡大―といったシナジー効果への期待を挙げた。
また、サプライチェーン強化による在庫や物流の最適化、グループネットワークでの調達力の活用、リソースの共有による原価・販管費の低減などを通じて、国内住宅事業の収益力強化が図れるほか、北米を中心とした海外市場における事業強化にもつなげられるとしている。
なお、大建工業の2024年3月期通期決算は、売上高が前年比2.7%増の2350億円、営業利益が同18.8%減の80億円、最終利益は同41.9%減の60億円となる見込み。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。