国土交通省は8月9日、地域の気候風土に応じた伝統技術を活用しながら、現行の省エネ基準では評価が難しい環境負荷低減対策等が図られた住宅建設を支援する「気候風土適応型プロジェクト2023」(令和5年度サステナブル建築物等先導事業・気候風土適応型)の第1回の採択プロジェクトを決定した。今回は4件の提案があり、すべて採択となった。
提案を審査した学識経験者による評価委員会は、いずれも「建設地の気候風土の特性に応じた建築的措置や環境負荷低減対策が、多面的にバランス良く盛り込まれている」と評価した。
採択プロジェクトは、具体的には次の通り。
▽相模平野の家(シティ環境建築設計)=首都圏郊外の農村的景観に囲まれた敷地で、新旧混在する新しい社会的・環境的ニーズを踏まえた一歩進んだ木材の積極的利用と土壁の耐力強化を盛り込むとともに、風景に馴染む建物形態によって地域景観に多様性と深みを与えることを目指した住宅。
▽戸塚の家(一級建築士事務所丹羽明人アトリエ)=都市部の住宅市街地で、造成前の丘陵地形を想起させる景観づくりによる地域コミュニティへの配慮、大屋根で形成される大空間で季節に応じた環境負荷の低い暮らしを実現するための様々な取組みなどが盛り込まれた住宅。
▽いなべの家(一級建築士事務所丹羽明人アトリエ)=地方都市郊外の谷筋に面した田園地帯にある敷地で、季節に応じた暮らしを伝統的な構法や間取り、新旧の材料の組み合わせなどで対応するとともに、地域住民との交流の場を設け、世代を継いで住み続ける暮らしの器となる住宅。
▽屋我地島 やんばるの風わたる家(クロトン設計)=蒸暑地域の住宅地において、防風林や土塁などの台風対策の佇まいや蟻害、高温多湿な気候風土への対応など沖縄における伝統的な手法を中心とした小規模分棟型の住宅。
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