東急建設(東京都渋谷区)と帝人(大阪市)は8月9日、建設工事現場における電源として活用する水素燃料電池発電機の有効性と有用性に関する検証を共同で行ったと発表した。建設工事現場への水素エネルギーの普及を目的に行ったもので、検証期間は6月下旬から7月中旬。
同検証では、帝人グループが開発した水素燃料電池発電機である燃料電池ユニットと、同ユニットに水素を供給する圧力容器ユニットを使用。東急建設が施工中の渋谷駅周辺開発に伴う建設工事現場において、電気設備機器の電源としての水素燃料電池発電機の有効性と有用性を検証した。なお、検証では東急建設の技術研究所で生産した「グリーン水素」を使用した。
検証期間中、水素燃料電池発電機を累計約10時間使用した結果、同出力のガソリン発電機との比較でCO2排出量の削減効果を約6キロ(参考値)と確認した。水素燃料電池発電機の使用で、年間約1トン強のCO2排出量の削減効果が見込めるとしている。運転音については、ガソリン発電機が約80デシベルなのに対し、同出力の水素燃料電池発電機は約60デシベルと、騒音低減を実現した。
燃料電池ユニットと圧力容器ユニットの作業性と運搬性については、渋谷までの搬入工程において、各ユニットの車両への積み込み・積み下ろし作業時に、特殊な機材は使わず、人の手による作業が可能だと確認した。また、使用場所までの片道300メートルを、作業者各1名がそれぞれのユニットを運搬できることを確認したという。
夜間工事の現場では、照明や警告板などの電気設備の電源利用のために、一般的に軽油やガソリンを使用する発電機が用いられているが、CO2排出や騒音、振動、臭気などが問題となっている。今回、CO2などの温室効果ガスを排出しない水素燃料電池を発電機に使用することで、従来よりも臭気・騒音を低減するとともに、脱炭素社会の実現に貢献できるとしている。
今後、両社は燃料電池ユニット・圧力容器ユニットについて寒冷環境下での使用が可能か検証する予定。
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