国土交通省の社会資本整備審議会・建築分科会は8月8日に「第24回建築環境部会」を開き、「改正建築物省エネ法」に基づく省エネ基準適合の全面義務化(2025年4月予定)、および省エネ性能表示制度(2024年4月予定)の準備状況などについて報告した。同省では省エネ基準適合の全面義務化に向けて引き続き準備を進める。
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性能向上基本方針、前倒しで実施
2022年2月1日に行われた建築基準制度のあり方(第四次答申)などを踏まえ、「改正建築物省エネ法」に沿って「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針」を全面的に見直した。さらに2025年の省エネ基準適合義務化への道筋を示して早期対応を促すため、3年目(2025年)施行分として予定していた内容の一部を1~2年前倒して実施する。最新の政策方針を反映するため、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する項目を追加したほか、再生可能エネルギー設備の設置を促進するための計画に関する項目を新設する。
促進計画の作成主体を市町村だけでなく、複数市町村による共同策定、市町村から委任を受けた都道府県による策定も可能とする。促進計画の作成に当たっては、住民意見反映のための措置を行うことや、特例許可要件に関する事項について特定行政庁と協議することを要件とする。
促進計画に定める事項として、①位置及び区域、②設置を促進する再エネ設備の種類、③建築基準法の特例適用要件に関する事項、④啓発および知識の普及に関する事項、⑤地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画との整合性―などを明記。具体的な検討手順についてはガイドラインに示す。
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省エネ性能ラベルに「目安光熱費」
「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン」案についても審議した。6月から7月にかけて募集したパブリックコメント(合計322件)の意見を反映。公募作品を基に作成した新たなラベル案も掲載している。表示性能のうち、「エネルギー消費性能」では、太陽光発電の自家消費による削減分を見える化。「目安光熱費」の項目を追加し、設計上のエネルギー消費量と全国統一の燃料単価を用いて算出した年額の光熱費を記す。「断熱性能」は、3以下が基準を満たしていないことを明らかにするために、4以上よりも小さく表示した。
消費者が物件を選ぶ際に参考にしやすくするため、同ラベルを物件の画像の一つとして表示することや、物件概要に掲載することを推奨する。既存建築物については、省エネ性能が把握できる2021年4月以降の建築物について、告示に従った表示を求める。告示・ガイドラインの公表は2023年8~9月頃を予定している。
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