積水ハウス(大阪市)はこのほど、同社研究機関の住生活研究所が全国の20~60代の既婚男女500人を対象に実施した「防災に関する調査(2023年)」の結果を発表した。災害時に、自宅に倒壊や焼損、浸水などの危険性がない場合、そのまま自宅で生活を送る「在宅避難」の意味を「知っている」と回答したのは34.8%だった。「聞いたことはあるが意味はわからない」(29.2%)、「知らない」(32.4%)もそれぞれ約3割となり、まだまだ在宅避難の考え方が認識されていないことがわかる。在宅避難について説明した後は、84.8%がもしもの際は「在宅避難を選びたい」と回答した。
在宅避難を選びたい理由で、最も多かったのは「プライバシーが保たれる」(57.1%)で、「自分の家が快適」(44.8%)、「普段と同じ暮らしがしたい」(38.9%)、「家族と過ごしたい」(36.3%)と続いた。災害時にも集団生活ではなく、なるべく家族とともに普段通り過ごしたい、という気持ちが読み取れる結果となった。
在宅避難を選びたい人に、安心して在宅避難をするために必要だと思うことを聞いたところ、「飲料水の備蓄(79.7%)」「食料品の備蓄(78.1%)」「日用品の備蓄(66.0%)」と備蓄関連の項目が上位を占めた。また「懐中電灯(57.3%)」「生活用水の確保(飲料水以外)(56.8%)」「通信の確保(53.3%)」とインフラ関連もそれぞれ半数以上となった。
一方、飲料水や食料品の備蓄を実施できている人は半数以下にとどまっている。特にインフラ関連で実施できていない人が多く、「必要だと思っている」割合との差は、「通信の確保」で43.2ポイント、「生活用水の確保(飲料水以外)」で38.6ポイントだった。「耐震性の高い住宅」も、必要と思っている人と実施できている人の差が32.0ポイントと大きい。在宅避難をするには、倒壊の危険性がなく安全であることが重要となるため、備蓄やインフラに加え、自宅の耐震性の確保などが課題となる。
自然災害以外の原因も含め、停電や通信障害、断水などの経験を聞いたところ、約8割が「停電」を経験しており、1日以上の長時間にわたる停電経験者は24.8%だった。「通信障害」は58.6%、「断水」は51.8%の人が経験していた。これらの供給停止や障害が1日以上続いた際、停電では約3割、通信障害では約半数が「復旧まで、特に何もせず自宅で我慢した」と回答。「復旧まで、別の工夫をしながら自宅で過ごした」人は、電池式のライトやカセットコンロなどを活用したと予想される。断水時には、約2割が給水車を利用していた。
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