日本貿易保険(NEXI)は8月2日、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の海外パビリオン建設を行う日本企業をサポートする目的で「万博貿易保険」を創設し、提供を開始した。同保険の利用により売掛金の不払リスクを補償することが可能となる。経済産業省ではカントリーリスクに不安を抱く建設事業者に対し、利用を呼び掛けている。
「万博貿易保険」は、大阪・関西万博の海外パビリオン建設工事で工事費用などが回収不能になった場合に、その費用を補償するもの。外国の政府機関によるカントリーリスクでは、▽外貨規制が導入され日本に送金できない▽外貨不足により発注者が外貨兌換(引き換え)できない▽経済制裁により資金の授受ができない▽相手国で内乱が発生し金融システムが停止した―などの場合に、費用の95.7~100%を補償する。(※参考:NEXIカントリーリスクマップ )
外国の民間企業に起因するコマーシャルリスクについては、破産や資金不足による遅延などのケースで90%を補償。ただし、契約相手方のNEXIバイヤー格付によっては補償されないケースもある。
対象は、海外パビリオンを建設する日本企業で、契約の相手方が外国法人などの場合。受注案件数1件から利用可能で、受注案件全件で利用した場合は、通常の3分の1程度の保険料が適用される。保険料は国・相手方・決済条件などにより異なる。
NEXIは100%政府出資の特殊会社。保険事故が多発し、NEXIの資金調達が困難な場合には、政府が必要な財政措置を講ずることができる。また、重要案件については国がNEXIに対して意見を述べることも可能となっている。
《関連記事》
「過労死弁護団」、万博協会に抗議声明 上限規制除外要望で
大阪・関西万博、契約を“進めて欲しい政府、動かない事業者
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。