帝国データバンクの発表によると、木造建築工事のピース(石川県金沢市)が7月31日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことがわかった。負債額は約2億円とみられる。
《関連記事》2023年上半期の企業倒産、建設業は前年同期比36.2%増
2008年設立。金沢市周辺エリアを主な営業・施工エリアとし、当初は木造注文住宅の新築・リフォームを主体に事業を行っていた。値頃な価格設定と顧客の要望を重視する営業スタイルで、内見会や紹介などを通じて受注棟数を積み上げるほか、一般住宅以外にも長屋住宅や共同住宅など賃貸物件にも注力。ピーク時の2016年4月期の売上高は、約4億2000万円を計上していた。
しかし、施工は外注に依存し、設立当初より赤字決算を散発。財務面は債務超過状態に置かれる厳しい経営状況だった。社外への資金流出などもあり、余裕のない資金繰りが続くなか、2020年以降はコロナ禍の影響で商談が停滞し、2021年4月期の売上高は約1億2700万円にまで落ち込んでいた。収益面でも約6000万円の大幅な赤字を計上。新型コロナウイルス関連融資を導入して資金を繋ぐ一方、長屋住宅や共同住宅など金額の大きい物件の営業の強化で業況の回復に努めていたが、木材をはじめとする住宅資材価格の上昇に加え、業界の受注競争も厳しく、抜本的な業況の改善にまでは至らなかった。
最近では借入金の返済猶予の支援も受けながら事業を継続していたが、今年春頃、社員が退社し代表のみの事業運営となり、見通しが立たず事業継続を断念、今回の事態となった。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。