論理体系化した住宅リノベーションを学ぶ「シン・リノベ塾」が9月より始まります。塾長はlivearth(リヴアース)の大橋利紀さん。塾では大橋さんが考案する「本質改善型リフォーム(livearthメソッド)」を、①哲学編 ②耐震編 ③温熱編 ④既存建物の調査編(2次診断)+写真表現編 ⑤設計編 ⑥即日設計編の全6回シリーズで習得することができます。
このたび、シン・リノベ実践塾のパンフレットが完成しました(無料ダウンロード可)。 今回、新建ハウジングDIGITAL限定で、パンフレットに掲載されている『修了生・特別座談会「スケルトンフルリノベ実践塾」の当時と今』の全文を公開します。
本塾で学ぶlivearthメソッドは、活用することで「性能向上リフォームにおいて数値的な根拠を持って住まい手に提案できる」さらには「性能向上リフォームに、感性や生活のしやすさといった付加価値を高める」 「自社独自のリノベーションの提案ができる」など、自社のリフォーム事業を1ランク、2ランク上げることで提案の幅が広がり、受注の向上にもつながり、新築にも応用できます。本気でリノベーションを事業化したいと考えている工務店さま、ぜひご参加ください。
どのような思いから塾に参加されたのでしょうか?
小菅さん これからは新築住宅だけではなく、リノベの設計を事業として本格的に取り組んでいかなければいけないという意識はありましたが、顧客からの相談の受け方も、こちらからの提案も表層的なものが多く、行き当たりばったりなところが多々ありました。 そこでリノベのご相談から、既存の調査分析、設計・提案までのスキームを体系化したいという思いから参加しました。
米田さん 新築注文住宅事業のシュリンクを見越して、自社のリノベ事業を活性化するために参加しました。(リノベについての)プロモーションが弱かったり、マンパワーに頼っていたり、加えて新築に比べると見積もり業務にも甘いといった課題があり、そうしたウィークポイントをつぶすためのヒントがつかめたらとの思いで参加しました。
塾を受けて得たもの、変わったことについて教えてください
宮脇(千)さん 設計の質が変わってきました。 耐震診断をきちんとしたうえで、ソフト(ホームズ君)を操作して耐震、温熱計算をして性能値を示して顧客に提案できるようになりました。それにより、耐震改修の補助金を活用する案件も増えています。 性能の数値というエビデンスにより、提案の説得力が増し、顧客の納得感も高まります。塾に参加して大橋さんが言っていた「“同時多発的に”学びを深めていく」という言葉がとても印象的でした。それに刺激を受けて、今もいろいろな勉強を並行して進めています。
宮脇(友)さん 僕は営業という立場から、大橋さんが性能向上をメインとする本質改善型のリノベについて、全てやり切る最上位も含めて「松・竹・梅」と3段階のメニューを用意しているところがとても参考になりました。
山﨑さん 大橋さんがリノベの要件の1つとする「感性デザイン」(情緒的な心地よさを設計する)を知り、リノベにおいても外構・植栽を大切にすることを学びました。それをさっそく自社のリノベの提案に生かしたところ、競合他社との差別化になり、実際の受注にもつながりました。スケルトンフルリノベまではいかないものの、現在、2000万円クラスのリノベの商談が3件ほど進んでいて、先日も小菅くんと一緒にお客様に初回プレゼンをしてきたのですが、とても良い感触でした。
米田さん 今回、すごく勉強になったのが、大橋さんがリノベ事業を展開していくうえで、脱炭素社会の構築やエシカル消費の広がりといった「社会的な大義」にベクトルを合わせ、スクラップ&ビルドからの脱却や空き家化の抑止への貢献などを自社のリノベに“物語”として落とし込んでいるということです。 リノベの本格的な事業化を図っていく前提として、当社の“物語”を考えていきたいです。
塾への参加を経て、いまどんなことに取り組んでいるか教えてください
山﨑さん いま、9月の完成を目指して、売却型のリノベモデルハウスをつくっています。ボリュームの大きな建物ですので、店舗兼住宅としてリノベし、カフェなどお店をやりたいといった少しユニークな層の人たちに訴求できればと考えています。 売却できるまでは自社のリノベのモデルとして活用しながら、趣味で集めている雑貨の販売などもしていく予定です。 大橋さんが『暁の家』に飾っている雑貨や小物などがすごく好きで、あんなふうに独自の世界観をつくれたらいいなと思います。
大橋さん 新築のモデルをつくりながら販売していくスキームをリノベで応用しているという形ですね。モデルを販売できれば2棟、3棟とつながっていくことを踏まえると、リノベの事業化という点では上手なやり方だなと思います。今後が楽しみです。
小菅さん 塾のなかで「住宅医」のお話をお聞きし、そのノウハウを大橋さんも自社のメソッドに組み込んでいる知りと、さっそく2023年の住宅医スクールを通年で受講しています。それに加えて、先日地元である滋賀県の木造住宅耐震診断員の講習を受け、これから事業者登録をして実践につなげたいと考えています。大橋さんの塾に参加し、より良いリノベの提案をする前提で、まずインスペクションと耐震補強についての知識・スキルとノウハウを身につけるところからアプローチしていこうと決めました。
米田さん 塾に参加した後、自分がリノベの営業の先頭に立って取り組んだところ、S造ではあるのですが、2000万円ぐらいの断熱改修を含むリノベ案件を受注することができました。それから当社でも山﨑さんと同じように、リノベモデルハウスとして活用しながら、かつ売却できるような中古住宅を探している状況です。
リノベ事業において 課題と感じていることは?
宮脇(友)さん 1500万円ほどのリノベ案件を年間10棟程度、コンスタントに手がけていますが、この価格だと、特に耐震性能は等級2・3といった新築並みというわけにはいかないというリノベの現実があります。一方で、当たり前のことですが、お客様の期待値は性能に関しても高い。この期待値のコントロールというのか、ギャップをどうやって埋めていくかについては、いつも悩んでいます。
大橋さん (リノベにおける)非常に重要かつ本質的なテーマですね。オフィシャルな基準も踏まえて、どれだけの予算で、どれだけのことができるのかをロジカルに説明すること以上にコミュニケーションスキルや伝え方が求められるのかもしれません。ただ、そうしたリアルに向き合い、“不都合な真実”もしっかり伝えながら信頼を獲得していくことこそが、「いい木の家」を建てられる、われわれ地域工務店の役割だと思います。
米田さん 来てくれるお客様に対して、新築かリノベどちらをすすめるのか明確な基準が自社にまだないことが課題です。揺らぎがちなお客様の反応を見ながら、それに合わせて提案しているのが現状です。実績を積み重ねながら、自社の“物語”も含めてお客様にプロとして自信を持ってリノベを提案できる根拠を構築していきたいと考えています。
塾での学びを生かして、今後、実践していきたいことについて聞かせください
山﨑さん 塾で大橋さんからいただいた資料をもとに、「松・竹・梅」のメニュー(ランク)づくりと営業や提案のマニュアル化を進めます。その先には、リノベ専任の人材の配置も見えてくると思います。そうしたことと並行して、現状では取り組めていないスケルトンフルリノベにもチャレンジしていきたい。断熱改修だけはマストとして外さない、といったこだわりを崩さずに一歩ずつ目指していきたいと考えています。
米田さん 現状ではまだリノベに関してはしっかりとしたプロモーションができておらず、特にスケルトンフルリノベの大型リノベは2年に1件程度、戦略的にではなく偶然、舞い込んでくるという形です。そこで山﨑さんと同じですが、まずは名古屋も商圏としている地の利を生かして、マンションも含めて「断熱改修」に特化したブランディングをしながら、その先にスケルトンフルリノベもコンスタントに受注できるような体制を地道に築いていきたいと思います。
宮脇(友)(千)さん 当社も同じです。大橋さんの塾で学んだことを生かして、設計力と提案力を磨き上げながらスケルトンフルリノベに取り組んでいきたいです。
最後に大橋さんから一言お願いします
大橋さん 塾に参加してくださった皆さんが、塾での学びを生かしながら、それぞれの地域でリノベに積極的に取り組んでいる状況をお聞きし、非常にうれしく思っています。地域工務店がスケルトンフルリノベのノウハウとスキルを備えることは必須だと考えています。ただ、顧客の選択や工務店の提案として、スケルトンフルリノベがゴールで、そこまでがステップだとは全く考えていません。リノベは新築以上に、顧客の層や求めること、予算(の幅)が多様で、さらに地域性も異なります。それに対してその地域の工務店が真摯に向き合うことが、より良いストックと暮らしの広がり、工務店にとってはリノベ事業の拡大、安定化につながるのかもしれません。 今後もリノベ塾では、単なるスキルやノウハウ以上のものを伝えていけたらいいなと考えています。
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