小田島工務店(秋田県美郷町)は6月、地元の工務店や設計事務所とコラボしながら、同町内の同じ敷地内に並べて建てた性能やデザイン性に優れる新築2棟とリノベーション1棟の3棟のモデルハウスを同時にオープンした。3棟とも平屋で、外壁を秋田県産のスギ材による板張りで統一。塀・柵などで境界が区切られていない3つの区画を、緑豊かな庭や湧水が流れる石積みの小川(小水路)がつなぐ。県外からの移住者らも対象としながら、良質な景観やコミュニティづくりにも寄与する資産価値の高い街並み形成型の住まいとして提案する。並行して、同じ地域の工務店同士が協働することにより、職人も含めて互いの仕事を拡大、活発化していく新しいモデルにも位置づけて取り組みを強化していく考えだ。
小田島工務店(秋田県美郷町)は昨年、町内の六郷大町地区にある330坪の土地と、そこにあった築45年の空き家(木造2階建て)を取得。「六郷大町プロジェクト」として、この空き家を減築して平屋にリノベーションしながら敷地全体を整備、2棟の平屋を新築して3棟(3区画)の小さな街並みを完成させた。3棟をモデルハウスとしても運用しながら、建売住宅として売却するコンセプト分譲のスタイルだ。
3棟とも同社による施工だが、同社ではこのプロジェクトの実施にあたり設計を、リノベ棟についてはやまと建築事務所(大仙市)に、新築2棟についてはそれぞれ西方設計(能代市)ともるくす建築社(美郷町)に依頼した。3社とも、高性能でデザイン性にも優れる住宅の実績が豊富で知名度も高い。小田島工務店社長の小田島誠さんは3社とのコラボや街並み型のモデルハウス群を開設した理由について、「これからの住宅市場を考えると、ただ性能が高いだけの住宅では評価されない。性能やデザイン性に加えて、良質な景観やコミュニティの形成も促すような真に資産価値の高い家づくりのブランドを確立していくため」と語る。
そのために、この3社とのコラボを単発ではなく継続性のあるユニットに位置づけながら、「MOKU-SUI―木粋―(もくすい)」として新たにブランド化。今後も、場合によっては3社に加えて、家づくりに対する価値観を共有できる工務店や設計事務所を招き入れて新ユニットを編成しながら、街並み形成型のコンセプト分譲を展開していきたい方針だ・・・
この記事は新建ハウジング8月10日号1〜3面(2023年8月10日発行)に掲載しています。
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