セレンディクス(兵庫県西宮市)は、日本初となる2人世帯向け3Dプリンター住宅「serendix50(フジツボモデル)」を、7月25日に百年住宅の小牧工場内(愛知県小牧市)に竣工した。
同モデルは、2022年の「serendix10(スフィアモデル)」発表後、60代以上の夫婦世帯から一般住宅仕様の3Dプリンター住宅を熱望する声が多く寄せられたことを受けて開発した。慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターとの共同プロジェクトで、構造設計はKAP(東京都千代田区)が担当し、施工は立尾電設(熊本県水俣市)、百年住宅(静岡市)、ナベジュウ(群馬県太田市)が実施。鉄骨造1LDK(50㎡)タイプを、施工開始から44時間30分で完成させた。
同モデルでは、快適性能と安全性能を検証したデジタルデータをもとに、躯体を3Dプリンターで出力し、屋根をCNCカッターで造形するという、2つの新しいデジタル技術を融合させた。人の作業量を大幅に削減し、ほとんどの部材が単一素材で複合機能を持つ3Dプリンター住宅を実現。施工完了まで二日以内という目標を達成した。居住面でも平屋で高い天井のある快適な室内と、構造強度・耐火性・耐水性・断熱性を担保する。販売予定価格は550万円。
安全性試験を実施後、限定6棟の先行販売を開始する予定。
同社は「世界最先端の家で人類を豊かにする」というビジョンのもと、ロボット施工により「車を買う値段で家を買える」家の開発を進めている。住宅ローンから解放された人生の実現を目指し、205社を超えるオープンコンソーシアム各社とともに技術・居住・価格の3つの面で住宅課題解決に取り組んでいる。今回は、日本の建築基準法に準拠する住宅を48時間以内に完成させるとともに、販売価格を一般的な住宅価格の1/10、車が買える500万円とすることなどを目標に実施した。
同社が2022年3月に「serendix10(スフィア10㎡モデル)」の施工を23時間12分で成功して以降、国内外から3000件を超える問い合わせがきているという。初回販売6棟は即完売し、2023年5月に一般販売棟を初めて竣工。商用初となる3Dプリンター施設を完成した。
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