東京商工リサーチ(東京都千代田区)は8月2日、7月の「円安」関連倒産が4件(前年同月1件)あったと発表した。2022年7月から13カ月連続の発生。2023年の累計は7月末時点で31件となり、すでに前年1年間の24件を上回っており、円安の影響が広がっている。
4件の内訳は、製造業2件、卸売業と建設業が各1件。円安で原材料価格が上昇し、仕入コストや製造コストのアップ、燃料費の負担増などで資金繰りに行き詰まるケースが増えている。
原材料や資材、水道や電気などの光熱費も上昇を続ける中、同社では、「経営体力がぜい弱な中小・零細企業ほど価格転嫁が難しく、コロナ禍からの業績回復が遅れてコストを吸収できない企業が多い。価格転嫁できても売上(受注)減少や粗利益低下を招くケースもあり、企業の資金繰りに円安が幅広く影響している」と分析する。また、「円安による価格上昇は、消費者行動にも影響を及ぼしており、食品や生活品全般の値上げで消費者の購買意欲が停滞すると、企業業績の悪化を招きかねない」とし、今後も円安による物価高が倒産を押し上げる可能性があるとした。
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