誰1人として取り残さない―。あいホームがDX化を促進するうえで最も大切にしている概念だ。同社は2011年から試行錯誤しながら全社でデジタル化を進め、少人数で生産性の高い組織を追求してきた。その結果、直近2020年度には過去最高益を実現した。
同社はDXを「人を増やさずに、顧客と社員と会社の利益を増やすこと」と定義する。社長の伊藤謙さんは、DXの土台として「実は、知識やITスキルよりも、価値観の共有が重要」と述べる。
そのために取り組んでいることの一つが、「価値観を声に出して読む」ことの徹底だ。8時40分にチャイムが鳴り、一斉に各支店も含めた全社で、朝礼が始まる。約5分を使って先代から大切にしている価値観を言語化した冊子『朝礼唱和集 プロ化』を唱和する。「朝礼開始は戦闘開始のゴング、遅れる人を待ってはならない」など、あいホームの一員として働き、どんな暮らしを届け、どんな価値提供を届けるべきなのか―といった点を仕事前に確認し合う。
伊藤さんは「DXを推進するには組織の下地が必要。人づくりとセットでやらなければ圧倒的な実行力は生まれない」と指摘する。「コロナ禍の感染拡大防止のため、約半年間、朝礼を撤廃した時があった。この時に初めて価値観共有の重要性に気付いた。一体感を失い、社内がギスギスしていった。2度と思い出したくない」。地域工務店として、リアルな信頼関係を深くすることを忘れてはならないとした。
DX室を設置
DX化を加速させていくためには、組織体制の構築も重要なポイントになる。同社はコロナ禍の2020年3月、部署や課を横断した社長直下の「DX室」を社内に設置した。社内でDXを推進するための“橋渡し役”として、デジタルに強い若手を抜擢し、所属部署と兼任する形でプロジェクトを進行している。
伊藤さんは「会社として“DXを本気でやっていく”という社内に向けての決意表明でもある」と語る。同室のメンバーが課題感の抽出や改善に努めるほか、ツール導入や標準化の際にも、リーダーシップを発揮する役割を担っている。
DXを浸透させる上で社内で使う「共通言語」も重視しているのが・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー8月号(2023年7月30日発行)「楽」は正義! DXらくらくワーク超入門』(P.26〜)でご覧ください。
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