建築家の谷尻誠さんが手がける住宅ブランド「yado」(東京都渋谷区)が、建築業界向けコミュニティプラットフォーム「CHANGER(チェンジャー)」を創設し、8月1日から運用を開始する。「CHANGER」は、建築業務に関わる人、これから関わりたい人がともに「建物づくり」「仕事づくり」「生き方づくり」を考え、より良い建築業界を創る“共創の場”。Instagramを活用してメンバー同士がつながり、新しい住宅業界・建築業界の創造を目指す。学生、建築士、設計士、工務店経営者やスタッフ、構造家、空間デザイナーなど、職種を問わず参加が可能だ。参加募集を7月20日より開始し、すでに申込者は100人を超えている。
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「エリート2割、その他8割の世の中。何者でもなかった私が、きっかけさえあればエリートと肩を並べて仕事ができると分かった。二極化してしまったこの業界をブリッジさせれば、未来はもっと良くなるはずだ」と谷尻さん。
「CHANGER」を始めようと思ったきっかけについて、次のように語る。
コロナ禍の2020年に映像会社「toha(トワ)」を立ち上げた時、Instagramでスタッフを募集した。「映像や写真が撮れて編集できる人」と呼び掛けた投稿に、「#プロじゃなくてもいいよ」と付け足した。するとプロからもアマからも、たくさんの応募が来た。
Instagramで募集したのは、「センスがあからさまになるから」だった。すべての応募者の投稿を見て、その中から飛び抜けたセンスの二人を選んだ。一人は建築学科の学生。もう一人は建築学科を卒業後、舞台美術をしていたという女性。素人だった二人はリアルな場数を踏む中で、映像のプロになっていった。この時の経験が「CHANGER」創設の根底にあるという。
谷尻さんは言う。「何もできない人がいきなり『この業界で働きたい』と言っても雇えないという現実はある。だが、建築はできないけれど、図面は見れるし、間取りは描けるという人は居る。こういう子がパースを作れるようになると、突然頭角を現すことがある。武器の入手方法さえ分かれば、こちらの世界で十分戦える人もいるはずだ」。
「CHANGER」に集まった人たちがこの場を利用して、能動的に自分で繋がりたい人と繋がったり、得たいものを得る。そういう場になることが願い。「谷尻誠のサロン」ではなく、「谷尻誠のスクール」でもなく、建築に携わる人、携わりたい人が自らのスキルや知識、マインド的なものを底上げし、それが参加者の「仕事づくり」「建物作り」につながればと考える。
谷尻さんによる作品添削も
今回募集するのは、▽実現したいアイデアがあり、アウトプットの場を求めている人▽自分が学んだことや感じたことを会社や業界の未来に還元したい人▽住宅・建築業界の未来を、自分自身のアイデアで作っていきたいと思っている人▽住宅・建築業界の未来を、志が近しい仲間と共に作っていきたいと思っている人▽学生や社会人で建築業界に憧れているが、何から行動すれば良いかわからない人―など。
コンテンツとして、より実務的に自分の仕事にも生かせるような、①デザイン力・提案力の向上を目指す「デザインクリティーク」、②“建築”をキーワードに活躍するトップランナーをゲストに迎える「ゲストライブ」、③カジュアルに質問や相談ができる「コミュニケーション」、④メンバーと共にプロジェクトを共創する「メンバー限定コンペティション」などの提供を予定する。谷尻さん自らが募集した作品の添削をするライブ企画や、谷尻さんが関わった建築を見に行くツアー(オフ会)なども考えている。
月額利用料金は個人が1800円(税込)。「yado」パートナー加盟店は3アカウントまで無料。
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