住宅金融支援機構(東京都文京区)は7月26日、熊本県球磨村と連携し、住宅を再建する被災者に「リバースモーゲージ型 災害復興住宅融資(災害リバモ)」の特例的措置を適用すると発表した。住宅・土地への抵当権設定が必須要件の災害リバモにおいて、土地への抵当権を不要とするもので、全国で初めての事例という。申し込みは8月1日から。
球磨村は2020年7月の豪雨災害で甚大な被害を受けており、防災集団移転促進事業の移転先宅地として塚ノ丸団地(借地)を造成している。移転対象者の多くは65歳以上の高齢者で、通常なら高齢者の住宅再建の有効な資金調達手段となる災害リバモだが、土地(公有地)への抵当権設定ができない同団地では利用できない状況にあった。
今回締結した災害リバモの特例的措置を適用する覚書によって、自治体の防集事業等で供給された公有地を賃借する場合、災害リバモ利用者でも土地への抵当権設定が不要となる。球磨村では、移転再建する住民を対象に融資金額に応じた利子補給を行っているため、今回の特例措置と利子補給で実質支払額が大幅に減額されるという。
両者はこれらの取り組みを連携して行うことで、防集事業により移転する高齢者の安全なエリアでの住宅再建を支援する。同制度は今回が初の適用事例となるが、今後、他市町村とも連携を予定。被災地の住宅再建・災害に強い住まいづくりに取り組むとしている。
災害リバモは、り災した60歳以上の顧客が住宅再建する場合に利用可能な制度。毎月の支払いは利息のみで、借入金の元金は申込人全員が死亡した際に相続人が一括返済するか、担保物件の売却代金で返済される。同制度の仕組み上、災害リバモでは住宅および土地への抵当権設定が必須要件となるが、覚書の締結等により債権保全を図ることで、特例的措置の適用を実現した。なお、融資金利は一般の災害リバモの融資金利(年利率)に年0.96%を上乗せする。
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