Sansan(東京都渋谷区)はこのほど、請求書関連業務に携わる1000人を対象に実施した「インボイス制度に関する実態調査」の結果を発表した。10月に開始予定のインボイス制度に向けて対応を進めているか聞いたところ、88.3%が「対応を進めている」と回答。同社が2月に実施した同様の調査では対応率は72.5%だったことから、各企業で順調に準備が進んでいることがわかる。一方、制度対応を進めている人のうち、適格請求書の受領に関わる準備を「完了している」と答えたのは22.5%だった。適格請求書発行事業者の登録申請数は6月末時点で350万件を超えており、請求書発行の対応は進んでいるものの、受領の準備対応が遅れていることが明らかになった。
制度開始が迫るなか、不安を感じていることで最も多かったのは「請求書業務の負担増大への不安」(38.1%)で、次に「スムーズに運用できるか不安」(34.4%)が続いた。制度開始後は、請求書の確認や不備があった場合の再発行依頼など業務負担が増えることが予想され、「業務負荷の増大」や「取引先とのやり取りや請求書形式の変更により円滑に運用できるのか」への不安が増している。
取引先の免税事業者への対応方針については、「免税事業者でも取引を継続する」が33.9%、「免税事業者に課税事業者になってもらうよう働きかける」が16.6%、「まだ対応を決めていない」が49.5%だった。企業によって対応方針がわかれる結果となった。
インボイス制度では、一定の条件を満たした「適格請求書」でなければ原則仕入税額控除の適用を受けることができないため、正しく制度を理解し対応を進める必要がある。今回の調査では、大多数の企業において請求書受領に関わる事前準備を完了しておらず、発行側に比べて受領側の対応への意識が低いことが明らかになった。
同社では、「インボイス制度は請求書を発行する場合、受け取る場合ともに対応が必要であり、双方で制度への適切な対応が求められている。特に請求書を受け取った場合は、適格請求書かどうかを都度確認するなど追加工数が多く発生するため、正確かつ効率的に対応できる体制の構築が必要」としている。
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