帝国データバンク(東京都港区)は7月25日、上場企業約3800社を対象に実施した「平均年間給与」動向調査(2022年度決算)の結果を発表した。上場企業の2022年度の平均年間給与は、2021年度から14万円(2.2%増)アップし、638万円だった。2年連続増加し、平均給与額・増加額ともに過去20年間で最高となった。国内の平均給与額443万円より約200万円高い水準にある。
平均給与額が前年度から増加した上場企業は、2.2ポイント増の68.9%を占め、賃上げの動きが広がっている。前年度から30万円以上増加した企業は25.3%で、上場企業の4社に1社が大幅な賃上げを実施した。輸出企業を中心に円安の影響で好業績となった企業が多かったほか、物価高や人手不足による賃上げ機運が急速に高まったことで、上場企業の平均給与額は上昇傾向にある。
平均給与額別では、「500万円台」が1059社・27.7%と最も多いが、賃上げで「600万円台」(935社・24.5%)以上に移行する企業もあるなど、社数は2年連続で減少している。「1000万円以上」はM&A仲介、不動産など過去20年で最多の134社。上場企業の約9割が、国内の平均給与額を上回っている。
業種別でみると、前年度から増加した企業が最も多かったのは「運輸・倉庫」の78.4%だった。「不動産業」は68.5%、「建設」は61.5%の企業で平均給与額が増加している。
同社が1月に全国約1万社を対象に行った調査では、2023年度に「賃上げ」意向を表明した企業割合は過去最高水準となった。人手不足などを背景に「労働力の定着・確保」目的の賃上げが約7割を占め、賃金引き上げなどが難しい企業では必要な社員を確保できない可能性があるとした。業績好調な企業・業界を中心に、給与や時給の引き上げなど待遇改善で人材を確保する傾向が強まっており、今年度も上場企業の給与水準の上昇が予想される。
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