築12年の中古住宅を購入して、その1年後に雨漏りが発覚したという事例の2回目。窓まわりのシーリングに施工不良がある箇所から水が入り、その裏側となる中2階の納戸に雨水の染みが表れていた。応急処置的にシーリングを打ち直すか、全面的に壁の防水施工をやり直すか。クライアントは後者を選んだ。
前回は、「補修の案は複数用意する」ということを述べた。クライアントにはそれぞれの事情や考え方があるからだ。特に今回は中古物件購入後というタイミングであることも考慮して、応急処置的にシーリングを打ち直し、定期的にケアする案と、外壁材を撤去して二次防水からやり直す案を提示した。
クライアントは、金銭的な負担は大きくなるものの、根本的に雨漏りの不安を解消したいということで、後者を選択することに。「家そのものは気に入っているので、長く住みたいからちゃんと直しておきたい」のだと言う。
クライアントへのヒアリングは丁寧に。意思確認も逐一、行うようにする
シーリングが切れたくらいで雨漏りが発生するというのは、二次防水自体が機能していないということだ。「外壁も張り替えることになりますが」と問いかけると、「ちょうどいいです。緑の外壁なんて実は嫌だったの」。
既存の外壁についてクライアントがそのような思いを抱いていたとは、このとき初めて聞いた。私は雨漏り調査の際には綿密にヒアリングをするよう意識しているが、それでも聞き取りきれない部分はあるものだ。
また・・・
この記事は新建ハウジング7月30日号4・5面(2023年7月30日発行)に掲載しています。
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