東京都の明治神宮外苑地区再開発についての住民説明会が7月17日から19日までの3日間、都内で行われた。代表執行者である三井不動産が、対象となる計画敷地から約380メートルの範囲内の住民および学校に案内を送付し説明を行ったもの。併せて同プロジェクトサイト「神宮外苑地区まちづくり」内に説明動画と質問受付ページを掲載した。住民などを対象とした説明会は、2020年からこれまでに5回行われているが、「説明が足りない」との声もあったことから、重ねて事業の詳細を説明している。
説明動画では約32分間にわたり、同計画の概要、まちづくりのポイントについて説明。同計画では、地上38階の事務所・店舗棟(伊藤忠商事・2028年完成)、地上40階の事務所・店舗棟(三井不動産・2032年)、野球場棟(明治神宮・三井不動産・2032年)、ラグビー場棟(日本スポーツ振興センター・2028年)などの建設を計画している。2023年2月には都の認可が下り、3月から明治神宮第二球場解体工事に着手している。
再開発を行う理由については、①広場空間の不足、②大規模スポーツ施設の老朽化、③地区内の回遊性の不足、④広域避難場所としての機能の維持・向上―を挙げている。このうち②の「大規模スポーツ施設」については、神宮球場の場外スペースや構内の狭さ、バックヤードの不足などを理由に、秩父宮ラグビー場と場所を入れ替える。また、神宮球場がプロ野球の本拠地や大学野球の開催地となっていることから、継続して利用ができるよう段階建替えを行う。ラグビー場は災害時の一時滞在施設として利活用できるよう整備する。
いちょう並木は保存 みどりの割合増やす計画に
いちょう並木については、伐採せずに保全すると説明。樹木医などの専門家と相談を行いながら野球場棟の設計・施工計画を検討する。設計上の工夫としては、樹木周辺の舗装に浮き床方式を採用し、人の往来による根への損傷を軽減する。施工時には重機との距離を設けるほか、仮囲いには根を傷付けない置基礎タイプを採用する。いちょう並木の活力度調査などのモニタリングは工事中だけでなく、完了後についても継続して行う。
その他の樹木については、住民などの意見も踏まえ、保存樹木886本、伐採樹木743本、移植樹木256本(+検討中19本)、新植樹木853本とする予定。これにより整備前の1904本から1998本に増え、みどりの面積も現在の約25%から約30%となる。伐採された樹木については木製品として加工する。
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