学校法人国士舘は7月20日、「宗教法人世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)が国士舘大学多摩キャンパスに隣接する土地を購入し、7月3日から既存建物の解体工事に着手した件について、教会に対して土地を使用した活動計画を中止し、撤回するよう直接申し入れを行った。教会は「市に土地利用計画を制限する法律上の権限はない」との理由から、土地を管轄する多摩市から要請のあった開発工事の延期を拒否している。
国士舘は今回の申し入れで、高額献金の要求や霊感商法など教会による恒常的な不法行為に対する民事判決が2件、民法上の使用者責任を認めた判決が20件あることを指摘。多摩市が宗教法人法第78条の2に基づく解散命令の有無が確定するまでの間、土地の開発を行わないよう要請したことにも触れている。さらに教会が若者への勧誘を勢力拡大の施策と位置付けていることから、同キャンパス付近に住む学生が違法行為による加害者または被害者となる恐れがあると懸念。土地利用計画の撤回を求めている。場合によっては、国、東京都、多摩市などとの連携による法的措置も辞さない考えを示している。
参考記事:多摩市、旧統一教会の建築行為に反対 工事中止申し入れ
同件について多摩市は、「教会が解体工事開始日を1週間延期するのみで、工事に着手したことは甚だ遺憾」と表明。市からの要望である、可能な限り市民の不安解消を図ること、解散命令の有無が確定するまでの間は新たな建物の建築は行わないことの2点について、7月3日付けで教会側に再確認したことを明らかにした。しかし、教会からの回答は「国の方が違法である」との独自の見解に終始したものだった。市に対しても「計画を制限する法律上の権限はない」と反発の意を示したという。これに対して阿部裕行市長は「引き続き粘り強く、旧統一教会と交渉を行う。市民の皆さんの応援をお願いしたい」とコメントしている。
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