農林水産省は7月18日、2022年における外国資本による森林取得に関する調査結果を公表した。外資系企業と思われる者による森林取得事例は20件、森林面積は70ha。調査を開始した2006年からの累計は302件・6734haとなった。中でも北海道での森林取得が進んでいる。
取得者の国籍は、中国・シンガポールが各3件、英領バージン諸島・マカオが各2件、アラブ首長国連邦・アメリカ・香港が各1件。都道府県別では、北海道が9件で最多となった。その他は、神奈川県(鎌倉市)、新潟県(妙高市)、静岡県(熱海市)、京都府(宇治田原町)、奈良県(奈良市)が各1件だった。主な利用目的は、資産保有、ホテル・住居の建設、戸建て住宅(自宅)の建設などで、一部は用途不明となっている。
これまでの累計で最も購入されているのは北海道ニセコ町で92件・153ha。次いで倶知安町の80件・381ha。北海道だけで247件・1927haが外国資本に購入されている。林野庁によると、利用目的の多くは資産保有、太陽光発電などで、これまでに無許可開発などの森林法上で問題となる事例の報告は受けていないという。
脅かされる森林の持続的管理
外国資本による森林の取得は、森林の持続可能な管理と保護を脅かす要因にもなっている。特に個人による無秩序な伐採は、森林の荒廃や土砂崩れなどの災害を引き起こす懸念があり、指導や勧告も行われないまま放置される可能性が指摘されている。他にも水資源の過剰取水や水源の汚染、無計画なリゾート開発、産業廃棄物の不法投棄、温室効果ガスの排出増加、生物多様性の喪失、防衛上の問題なども危惧されている。
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