経済産業省は7月10日、下請中小企業の価格交渉・価格転嫁をフォローするための「価格転嫁サポート窓口」を、全国47都道府県の「よろず支援拠点」内に新設した。価格交渉に関する基礎的な知識や、原材料費、エネルギー価格、労務費などの上昇分を価格転嫁する方法などを案内している。
「よろず支援拠点」は国が設置した中小企業の無料経営相談所で、「売上拡大」「経営改善」「事業継承」など、企業の悩みに応じて専門家からアドバイスを受けることができる。
周到な準備後に価格交渉を
2023年6月に中小企業庁がまとめた「価格交渉ハンドブック(初級編)」によると、取引先との価格交渉に当たっては、交渉に必要なデータ・資料をあらかじめ準備しておくことが重要で、価格転嫁ができた企業の多くは「原価を示した価格交渉」が有効だったという。
交渉に当たっては、適切なタイミングでの申し入れが効果的で、①プライスリーダーとなる大手メーカーや競合他社の値上げの動き、②取引先の価格改定動向―などに注視し、その動向に合わせて交渉することを勧めている。唐突に交渉するよりも、3カ月から半年前に値上げに関わる情報を取引先と共有しておくと、価格転嫁に応じてもらえる可能性が高まる。
単純な値上げが難しい場合は、①値上げできない商品などを廃番にして、新商品として適正価格で販売する、②スペックダウンすることで現在の価格を維持する―などの選択肢を設けることも推奨している。
「価格転嫁交渉が難航」は16%
中小企業庁が「価格交渉促進月間」(2023年3月)に実施した関するアンケート調査によると、「価格交渉を申し入れて応じてもらえた」「発注側からの声掛けで価格交渉ができた」と回答した下請中小企業の割合は全体の約58%で、2022年9月時点から増加。その一方で、「発注側から交渉の申し入れがなかった」「協議に応じてもらえなかった」「減額のために協議申し入れがあった」と回答した割合が全体の約16%となっている。
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