大成建設(東京都新宿区)が施工する「世田谷区本庁舎等整備工事」で7月14日、世田谷区は1期に加えて2期・3期でも工期が遅延すると発表した。4月以降に同社が実施した検証の結果、2期工事で6.5カ月、3期工事で8カ月延伸する必要があると判明したもの。すでに第1期工事で8カ月遅れることが決まっていることから、合わせて22.5カ月遅れる見通しとなった。
世田谷区は、「契約時よりも約2年も遅延する影響は計り知れない。本庁舎は区民サービスの拠点としてだけでなく、災害時の司令塔や避難先としての機能も有している。残された2期・3期工事で遅延を取り戻すことを期待していただけに残念だ。今後も専門家を交えて同社と協議したい」とコメントしている。当初の予定では、2期工事は25.5カ月間、3期工事は25カ月間で完了する予定だった。
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同社は工期延伸の原因について、①引越し期間における作業制限の認識不足、②検査工程の認識不足、③応札時の施工計画・工程計画の見誤り―があったためと説明。①「作業制限の認識不足」では、当初の計画で解体工事の一部と引越し作業を並行して行う予定だったが、引越し期間とラップさせない計画に変更したことを理由に挙げた。安全性・確実性を考慮した結果、ラップさせない方が良いと判断したという。
②「検査工程の認識不足」では、行政検査(消防検査・東京都の仮使用検査)後から引渡しまでの期間が約0.5カ月で済むと認識していたところ、1カ月程度必要であることが判明。③「応札時の計画の見誤り」では、応札時に作成した工程で歩掛りから算出される作業員数や機械台数に誤りがあったという。
具体的な遅延内容は、2期工事が▽地下躯体工事:3.5カ月▽外構工事:0.5カ月▽解体工事:0.5カ月(短縮)。3期工事が地下躯体工事:4.5カ月▽外装工事:0.5カ月▽外構工事:2カ月▽解体工事:1.5カ月(短縮)。工期の遅れを防ぐため、職員の増強や本社・支店によるバックアップ体制の強化、工程進捗確認を主目的としたパトロールの実施などを行う。
工程検証で委員会設置へ
大成建設側の説明を受けて世田谷区は、早稲田大学理工学術院・石田航星准教授ら学識経験者4人を中心とした工程検証委員会を設置。7月21日から9月下旬に掛けて計7回にわたり、同委員会およびDX・地域行政・公共施設整備等推進特別委員会による検証を行い、2期・3期の工期の変更について大成建設側と協議する。主に2期・3期工事の詳細工程表、再発防止策、今後の確実な工程履行に向けた取り組みなどの実効性について検証する。
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