弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。今回は、今年4月に施行されたばかりの「こども基本法」への、工務店としての向き合い方を考えます。
①こども基本法の第1号事例は住宅業界の取り組み
「こども基本法」は、日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神に則り、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的に制定され、令和5年4月1日に施行されました。
こども基本法に基づきスタートした、こども家庭庁によるマッチングネットワーク推進事業として、5月15日、一般社団法人リビングアメニティ協会によるこども食堂支援事業である「ALIAこども応援プロジェクト」が公表されました。マッチング事例としては、こども家庭庁による初の公表事例であるとのことです。
例えば、リンナイのガス炊飯器が寄付された事例では、こども食堂から「ご寄付いただいたガス炊飯器を使用しての最初のこども食堂では、取りあえず1升分を炊いてみましたが、たった15分で、とても美味しいご飯が炊きあがりました。何人かのこどもからおかわりをしてもらえました。2回目は、ちらし寿司の用意に2升を炊き、参加者からも大好評です。大変ありがとうございます」とのコメントが寄せられています。
日本全体でも、こどもたちの7人に1人が「貧困」であり、ひとり親家庭では、2人に1人に及ぶと言われています。また「ヤングケアラー」と呼ばれるこどもたちは、家族の世話や介護を担い、こどもらしい生活を送ることができていません。その他、「不登校」をはじめとして、家や学校などのどこにも“居場所がない”、孤独感を抱くこどもたちが集まってくる場であるこども食堂は、まさに、こども基本法の精神に沿った活動をしている団体です。
こういったこどもたちが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、施行された「こども基本法」の第1号事例として、住宅業界団体の取り組みが公表されたことに誇りを感じています。
②工務店がこどもたちのためにできること ~大工として稼ぐ力を与える
さて、住宅業界や工務店が、こども基本法の趣旨に沿った行動を何かできないでしょうか?私は、・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号10面(2023年7月20日発行)に掲載しています。
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