顧客にとっての家づくりは、一生に一回の機会になる。当然ながら不安が付き物だ。
施工する工務店に対して不安(クレーム)を共有することは、期待の裏返しともいえるだろう。
楓工務店(奈良県奈良市)では、顧客からの思いがこもったクレームを、「ラブコール」として受けとめ、再発防止に生かしている。マイナスの要素として捉えられがちなクレームを、プラスの財産にどうやって変えるのか、第2回は、事例を元に再発防止報告書の作成手順と仕組み化までのフローを取り上げる。
再発防止報告書に 記載する事項は?
【図1】のように、報告書には、顧客からの「ラブコール」の内容、発生日時、原因から再発防止の対応策に加え、担当者の過失割合とエラー報告によって起きた感情も記載してもらう。
過失割合は、1つの案件に対して複数の担当者が関わっている場合もあるため、エラーの原因を確認する意味で求めている。また、エラーを通じて本人がどういう気持ちになったのか、他の社員に同じ思いをさせないために、どんな思いで再発防止策を作成したかを形にするために感情も記載してもらう。一方で、担当者視点の報告書は原因の焦点化が浅く、再発防止に向けて検討材料が足りない場合もある。本人が深掘りしきれない点は、上司が助言を与えている。
ここまでなら、一般的な反省文や始末書と変わらない。担当者が考えて作成した再発防止策を、全体で共有できるように、社内クラウド上に保存されているチェックシートに付け加えていく必要がある。各部門の管理者側が業務を引き継ぐ際に、担当者の業務遂行の有無を容易に確認できる環境を構築する上でも、ステータスをチェックシートで管理できる仕組みが可視化されていないといけない。仕組み化には、クラウドサービスなどを利用して最低限のインフラを整えることが必要だ。
仕組み化まで終えたら、報告書を顧客に提出している。迷惑をかけた内容を社内の仕組みに反映させて、2度と再発させないことを約束するためだ。
どのようなエラー報告があるのか。 再発防止の具体的な内容は?
【図1】の事例では、・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号6面(2023年7月20日発行)に掲載しています。
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