東京都文京区千駄木のとある路地から住宅地に進むと、静岡県にゆかりのある料理を提供する和モダンのカフェ兼食事処「粋黒(いっこく)」がある。10年間空き家状態だった戸建てを、ジェクトワン(東京都渋谷区)の空き家活用サービス「アキサポ」がリノベーションし、現在では店舗として活用している。
同物件は、一人暮らしをしていた所有者が亡くなるまで住んでいた物件で、相続した家族は売却や取り壊し以外の活用方法を検討していたが、方法が見つからないまま約10年間、空き家状態になっていた。活用に悩んでいた時期に同サービスを知り、愛着ある住まいが地域コミュニティの活性化の場所になることを期待し、店舗としてリノベーションを決めた。
この物件は空き家状態が続いたため、天井や床など建物全体で老朽化が進んでおり、全面的に改修を行った。雨漏り補修から屋根の葺き替え、床は湿気により耐久度が低下していたため張り直して、剝がれていた外壁は千駄木の街並みに合う色味に再塗装した。内観は、木の素材感を出すため住まいの名残を生かしつつ、和モダンの雰囲気を演出する方向性でリノベーションを行った。
新しく改修した物件で開業した粋黒店主の黒柳佳子さんは、「独立を考えて・・・
この記事は新建ハウジング7月20日号5面(2023年7月20日発行)に掲載しています。
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