積水ハウス(大阪市)は7月14日、住宅内の電力を自給自足する水素住宅の実証実験を、同社総合住宅研究所で6月から開始したと発表した。2025年夏の実用化を目指す。
水素住宅では、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用いて、水素の製造・貯蔵・使用が可能。日中は太陽光発電パネルでつくったエネルギーを消費し、余剰電力で水を分解して水素を製造する。つくった水素は水素吸蔵合金のタンクで貯蔵し、雨の日などの日射不足時や夜間に、貯蔵した水素を利用して燃料電池で発電する。水素吸蔵合金は、高圧ガス保安法の適用外、消防法上の非危険物で、長期保存・コンパクト設計が可能のため、住まい手に合わせた提案、導入が期待できるという。
水素住宅は、太陽光発電の発電出力の不安定さを水素で補完することで、昼夜・季節を問わず無駄なくエネルギーを使用可能。災害など非常時でも自宅で暮らすことができ、建物のレジリエンス性を強化する。また、運用時におけるCO2排出量はゼロのため、環境負荷低減にも貢献。同社は水素住宅の開発によって、日常生活におけるゼロカーボン化と電気の自給自足の実現を目指す。
地球温暖化やエネルギー需給構造の変動から、脱炭素とエネルギー安定供給を両立する新たなエネルギーとして、水素の利活用が進んでいる。各住戸で水素が利用可能となるのは2050年以降とされていることから、同社は今回の実証実験を実施。「自ら水素を作り活用し、脱炭素化を推進すべき」という考えのもと、家庭での使用環境を見据えた安定・自立運転の検証、商品化に向けた課題整理を行っていく。現在のZEHの仕組みに新たに水素の利活用を組み込むことで、環境性能や利便性、レジリエンス性等の向上が期待できるという。水素の直接燃焼技術の利用も視野に入れ、水素の可能性を最大化させるとしている。
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