2023年3月31日より3省連携による過去最大規模の補助事業「住宅省エネ2023キャンペーン」の申請受付が始まった。特に「先進的窓リノベ事業」においては、省エネにつながる高い断熱性能をもつ窓や内窓を販売するメーカーが相次いで、商品の品切れと納期の延期を発表する事態となるなど、市場の断熱性能の向上に対する関心は高まっている。LIXILハウジングテクノロジー 営業本部リフォーム推進部部長の渋谷和徳さんに、住まいの断熱改修における現状と対応する製品について話を聞いた。
脱炭素化の機運と国策で市場認知度は拡大傾向に
―脱炭素化社会に向けて、建築物分野の省エネ対策が加速している。
国が主導して 2050 年のカーボンニュートラル実現に向かって進む中、住宅業界では新築と既存住宅の省エネ性能を高めることによるCO2排出量削減への貢献が求められている。一方で、22年9月に当社が実施した「住まいの断熱と健康に関する調査」では、「冬に、自宅の中で寒さを感じることがあるか」の問いに約8割が「寒い」と回答したが、「断熱リフォームを実施した、または検討したいと思っている」のは約1割という結果がある。
省エネ性を高める断熱改修の重要性は、市場に十分に認知されておらず、約9割の既存住宅は低い断熱性能であり省エネ基準を満たしていないのが現状だ。住まいの断熱性能を高めることが、光熱費やCO2排出量の削減、熱中症やヒートショックの予防になり健康的な生活を送れるようになることは、もっと認知されていくべきだ。
―これからリフォーム事業に取り組むプロユーザーに対して、どう支援していくのか。
これまで、開口部の断熱改修は注目されていなかったが、脱炭素化への機運と健康被害への影響軽減が明らかになり、3省連携による「住宅省エネ2023キャンペーン」における先進的窓リノベ事業の補助額が過去最大規模だったことも相まって、市場への認知が広がりつつある。当社では、開口部改修の取り扱いが増えており、エンドユーザーが困っていたニーズが顕在化された結果と見ている。窓の断熱化は住宅の省エネを進めるにあたり不可欠であり、ニーズがあることもわかったため、さまざまな商品・サービスをかけ合わせた総合力での提案により、開口部の断熱改修を推進していく。
―LIXILが提案する断熱改修の強みは?
特に推進するのは、窓断熱、ひと部屋断熱、住宅1棟まるごと断熱の3プランにおける「性能改善リフォーム」だ。窓断熱については、マンションであれば内窓の「インプラス」、戸建てなら「インプラス」の他に取替窓(カバー工法)の「リプラス」もお勧めしたい。内窓は断熱性能が期待できるのはもちろんのこと、防音効果も上がるなどのメリットもあるが、開
ける動作がツーアクションになってしまう側面がある。一方で、築古の戸建てで既存の窓に傷みや不具合がある場合には、断熱性能の高い新しい窓に取り替えて、見た目も機能もアップグレードできる取替窓が選択肢に挙がるだろう。それぞれのメリットを鑑みて選択してほしい。
ひと部屋ごとの改修を必要とする場合は、部屋の内側から簡単に断熱改修できる新発想の断熱エコリフォーム「ココエコ」を推奨する。居住部や寝室を含めて、家全体の断熱化を希望する場合は、外側からの施工で住宅1棟まるごと改修できる新製品の「まるごと断熱リフォーム」がある。これまでは、壁を壊してスケルトンにした後に施工することが一般的だったが、現状の住宅の部材を極力生かしつつ、コストも抑えて家1棟の断熱が可能になっている。ココエコもまるごと断熱リフォームも、既存住宅を生かして性能を高めることが可能なため、これからの時代に求められる製品になるだろう。プロユーザーにとっては、ひと部屋断熱とまるごと断熱は得意分野の領域だと認識しているため、さらに情報を届けていきたい。
補助金対応製品を追加 選択肢広げ受注確率向上
―リプラス専用枠は23年4月にモデルチェンジしている。その理由は?
これまでのリプラス専用枠は、汎用枠に比べて現調・施工方法が煩雑であるという課題があった。そのため、プロユーザーは施工が簡単なインプラスを選び提案することが多かった。4月にモデルチェンジして市場投入した専用枠は、室内側段差が小さいため開口面積を大きくとれるという専用枠の特徴はそのままに、汎用枠と同様に短時間で施工可能かつ現調も簡易化された製品になっている。8月には、専用枠として枠の形状を変更しAグレードに対応した製品を発売予定だ。
エンドユーザーの予算や要望に応じて、補助金も利用できる最適な窓を選べるようになっている。プロユーザーには、内窓の提案だけでなく取替窓の選択肢も持つことで、受注確率を高めてもらいたい。
―プロユーザー向けに行っているリフォーム支援はどうか。
開口部という点でいえば、当社では「窓マイスター制度」という窓の専門家を輩出する認定制度を設けている。エンドユーザーの住まいやライフサイクルに応じた施工方法を提案する専門家づくりの制度で、研修を通して提案手法やノウハウを学んで実施してもらう。
「LIXILリフォームネット(VC)」に加盟する1万1000社に対しては、加盟店専用の無料アプリ「L- ポケット(エルポケット)」を提供する。水回りやインテリア、内装から外装などメーカーごとに知識を覚える必要性があるリフォーム業者は多忙だ。エルポケットには、住宅業界に関する教育や国策、商品情報、現場の施工情報などを集約しているので、必要な情報だけを取捨選択して身に着けて、効率化を図ることも可能だ。
エルポケットでも認定された窓マイスターは確認できるため、エンドユーザーに提案する際のきっかけとしても利用してもらえればいい。商材や国策が多くなり情報過多になっているので、プロユーザーがたどり着きやすいようなアップデートを重ね、加盟店のビジネスを拡大していきたい。
(sponsored by LIXIL)
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