タカラスタンダード(大阪市)は7月6日、製品配送におけるドライバーの労働時間の短縮への取り組みを発表した。2024年4月1日から適用の「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」に対応するもので、同社物流センターでの待機時間短縮や付帯作業の明確化などによって、業務時間全体の短縮を目指す。
同社では、2017年頃から物流センターにおける待機時間短縮に向けた取り組みに注力。自動倉庫や無人フォークリフトといった自動化設備を導入し、2022年の待機時間を2015年のほぼ半減の2時間7分とした。自動倉庫では商品取り出しをスムーズにしたほか、仮置きスペースの待ち時間などを削減。また、出荷する商品の場内搬送・荷揃え作業を、無人フォークリフトが夜間の無人の時間帯に行うことで、全体の作業時間短縮を実現した。
このほか、ASN(事前出荷通知:Advanced Shipping Notice)データを利用した入庫作業時間の短縮や、倉庫管理システムの刷新で到着時間に合わせたピッキング作業の完了が可能となった。輸配送能力に合わせた1日の出荷量の平準化や、一部路線でのリードタイムの見直しも実施している。
同社は、トラック等の自動車による貨物輸送を鉄道や船舶の利用へ転換するモーダルシフトを推進しており、鉄道輸送の拡大と合わせて一部の工場や倉庫間では積極的に海上輸送を実施。環境負荷の少ない海上輸送を一定以上の割合で利用している企業が取得できるエコシップマーク認定を取得している。2022年10月には、タカラ化工(滋賀県湖南市)と東北物流センター(宮城県名取市)間で鉄道輸送を導入した。
これまで明確になっていなかった搬入に関する付帯作業の範囲・基準の見直しを実施。付帯作業のオプションを明確化することで、トラックドライバーの長時間労働を解消するとともに、拘束時間に関する基準の遵守など安全面、労務面でのコンプライアンスの確保や、取引環境の適正化を図る。全運送事業者との契約の再締結を進めており、2024年4月の完了を目指す。
ドライバーの労働時間が減る一方で、人手不足はさらに拡大し、2025年には現在のトラック輸送量の約1/4を運ぶことができなくなると予測されるなど、積載率向上が課題の一つとなっている。同社は、デンソーの荷台(コンテナ)部分を着脱できるスワップボディコンテナ車両を用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験に参加するほか、日本パレットレンタルの共同輸送マッチングサービス「TranOpt」とコミュニティでの対話を通じた共同輸送にチャレンジしている。幅広い業種が携わる実証実験や課題解決のためのコミュニティに参加することで、さまざまなサイズ・形状の荷物を運搬する住宅設備機器メーカーとして、物流業界全体の課題解決に貢献するとともに、自社への活用も検討していく。
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